オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

中医学基礎用語

五行の中の陰陽について

五行の中には多くの陰陽が隠れています まず真っ先に思いつくのが、五臓の表裏関係にある六腑ではないでしょうか 陰↔陽 肝↔胆 心↔小腸 心包↔三焦 脾↔胃 肺↔大腸 腎↔膀胱 これは 臓はものを蔵す機能がありより身体の深部なので陰 腑はものを通す機能があり身…

四診とは

中医学には四診と言って4種の望診・聞診・問診・切診という診断方法があります。 望診(ぼうしん) 望診は舌診のように相手を見ることによって観察する診断方法、舌診以外にも患者さんの体の動き姿勢なども観察する対象になりますし、顔色や肌の状況なども…

小さなお子さんは純陽?

純陽 小児の生命力が旺盛で盛んに発展していく様を天に昇る朝日の勢いのようにまた草本の芽吹きのように例えたものであり決して正常な小児が陰が無く陽だけであると言っているのではありません。 稚陰稚陽 小児にはもう一つ大きな特徴がありまして、それは稚…

正虚・邪実について

痰のたまりやすい、脾の弱い私にも大丈夫なのでしょうか?湿がたまりやすいのは初めて聞きました。 — こっく (@koku1971) October 2, 2020 このような話がTwitterであったので詳しくここにまとめて書こうと思います。 以前に chinese-medicine.hatebl…

臓腑の正虚・邪実について(肝・胆の邪実)

肝気鬱結 怒りやストレスなどにより肝の五臓六腑をスムーズに働かせる機能が低下して気の巡りが悪くなっている状態、長期にわたると肝血・肝陰も消耗し正虚も引き起こす。 肝火上炎 より強い怒りやストレスにより肝気鬱結から熱に発展したもの、頭部の熱症状…

外邪とは

中医学で言う外邪とは ウイルス・細菌などだけではない 火邪・燥邪・湿邪・暑邪・寒邪・風邪 など六淫と言われる 外界の変化を指すが実際は それらを視認することや血液検査のようにデータ化することも不可能なので それらの外界の変化によってもたらされた…

標治と本治とは

本治・標治を西洋治療に活かす よく見かける中医学のワードに 標治・本治 があると思います。 多くの人が思い描く標治・本治はおそらく 病気の症状と原因での標・本だと思いますが実際はそれ以外にも 体力と病邪 病気の発症順 病気の場所 で標・本を分けて考…

盗汗(寝汗)をなぜかくのか?

中医学では寝汗*1のことを 盗汗と言います。 盗汗は衛虚・陰虚・湿熱などで起こると言われますが 体の中で起こっていることを知ればより細かなアプローチが出来るので 西洋医学的知見も加えながら解説したいと思います。 そもそも寝ていて一番人間として熱を…

五臓のイメージ国として考えると分かりやすい

五臓を国に例え理解する 昔の人も五臓を 心は「君主の官なり、神明これより出ず」 肺は「相傳の官、治節これより出ず」 肝は「将軍の官、謀慮これより出ず」 脾胃は「倉廩の官、五味これより出ず」 腎は「作強の宮、伎巧これより出ず」 などと昔の官職にたと…

肝の不調とは脳の防衛本能(肝鬱)

chinese-medicine.hateblo.jp でも書かせてもらいましたが 肝の不調とは脳の防衛本能と考えると理解しやすい部分が多くあります。 怒りやすくなったりイライラする これは 五神・五志とは(魂・神・意・魄・志) に書いたように怒りが肝に割り当てられている…

虚熱・実熱への対応の違い+石膏・麻黄

虚熱と実熱の違いは 虚熱は陰の不足により陽が余っている 実熱は陽が余っている と考えることが出来る ですので対応としては 虚熱は陰(潤い)を補う 実熱は陽(熱)を抑える となります。 ですが場合によっては 実熱でも潤いを足すこともありますし 虚熱で…

五神・五志とは(魂・神・意・魄・志)

中医学では五臓は感情に関わりがあると考えます。 それを五神・五志と考えます 五行・五神・五志 五志の方は分かりやすいと思うのですが 五神の方は?? となる方が多いと思います 五志の感情のもとになる五臓に蔵された神と考えられます。 意・志は二つ合わ…

陰陽について②

直接、中医学に関わるかと言えば違うかもしれませんが陰陽論の根底だと私が思っていることを書きます。 陽とはエネルギーや動きですから それだけでは観測出来ません 陽により物質(陰)が動いたり変化することにより観測が可能になります。 そして、観測して…

血瘀と痰湿の治療の違い

血瘀の治療は活血をするのですが 活血と一言に言っても血流の悪くなっている原因により アプローチに関してはさまざまです。 それについては後日、書かせていただこうと思います。 血瘀は血 痰湿は津液 それぞれの巡りが悪くなった状態ですが血は女性の場合…

あなたの浮腫みの原因は潤い不足かも?

中医学には 痰湿と津液と言う概念があります。 どちらも体液などのことですが 津液とは機能している体液で潤いのようなもの 上手く巡らず機能していない体液を痰湿と言います。 浮腫みなどは痰湿と言えますね。 ですから痰湿はあるが津液はないといった状況…

陰陽論と邪実・正虚について

正虚と邪実は陰陽ではない 日本漢方では 体力のなさそうな人を虚 体力のありそうな人を実 と言ったりしますが中医学での虚実は少し違いまして 邪実・正虚と言う考えがあります 邪実とは要らないものが多くあるや上手く巡らず詰まっている状態 正虚は必要なも…

陰陽について①

陰陽とは対立しながら統一された両面を表している。 対立に目が行きがちですが大切なのは統一 一つの側面(統一)に対しての対立している部分を探すことが大切なのです。 例えば全然関係ないように思えるものでもある一点で比較すれば陰陽といえる場合がありま…

五液について(涎・唾)

中医学では五液という考えがあり 肝→涙 心→汗 脾→涎(よだれ) 肺→涕(はなみず) 腎→唾(つば) の五臓が関わっていると考えます。 この度はどちらも口から出る五液 涎・唾について書きます 涎は「ぜん」と読み 唾は「だ」と読みます。 どちらも唾液のことですが …

五液について(涕)

中医学では五液という考えがあり 肝→涙 心→汗 脾→涎(よだれ) 肺→涕(はなみず) 腎→唾(つば) の五臓が関わっていると考えます。 ここでは涕について書きます。 読みかたは「てい」で鼻水の意味です。 肺は水道 を通調すると言われ 脾が吸収した津液を上に持ち上…

五液について(汗)

中医学では五液という考えがあり 肝→涙 心→汗 脾→涎(よだれ) 肺→涕(はなみず) 腎→唾(つば) の五臓が関わっていると考えます。 ここでは汗について書かせて頂きます。 心は血脈を主ると言われ 脾胃が取り込んだ水穀の精微を血に化生し その血を全身にポンプ機…

五液について(涙)

中医学では五液という考えがあり 肝→涙 心→汗 脾→涎(よだれ) 肺→涕(はなみず) 腎→唾(つば) の五臓が関わっていると考えます。 まずは涙について書かせて頂きます。 肝は自律神経などに大きく影響していますので急に明るい所に行った時などの瞳孔の開きなども…

漢方薬・中薬・生薬・中成薬?

漢方を勉強し始めると 中成薬であったり中薬だやったりという言葉を耳にすることがあるかと思います。 どう違うのと分からなくなってしまうこともあるかもしれません。 基本的に漢方薬とは日本で漢方医学に基づいて構成される、生薬の組み合わせで作られた薬…

気滞と気虚の違いとは

気虚とは気(エネルギー)が足りない状態 気滞とは気が巡っていない状態 気虚の治療は補気 気滞の治療は理気 と書いてしまえばとてもシンプルで分かり易いじゃないか間違えないんか起きないんじゃないかと思う訳ですが、 実際臨床の現場で応用するとなると結構…

痰飲(たんいん)とは

痰湿とどう違うの? となると思います。 広い意味での痰飲は痰湿とほぼ同じものと考えてよいと思います。 ちなみに痰は粘りが有るもの飲はさらさらしたものです。 また狭義での痰飲は上手く巡らなくなった体液(痰湿)が腸や胃に溜まった病証 溜まる場所や状態…

痰湿(たんしつ)について

痰湿の湿とは上手く巡らなくなった体液であり 外部から入ってくる湿邪と→肺から入る 脾腎の不調により内側から作られる内湿 がある。 これらは相互に関わりが深く 内湿のある人は湿邪の影響を受けやすく 湿邪が入ると内湿も悪化することがあります。 さらに…

奇恒の腑について

奇恒の腑とは 脳・髄・骨・脈・女子胞・胆 です 胆は五臓六腑の六腑なのでは? と思った方は鋭いです。 胆は六腑であるだけでなく奇恒の腑でもあります。 奇恒とは通常とは違うという意味合いがあります 奇はよく奇才などと言って特別な才能がある人のことな…

痰瘀互結(たんおごけつ)

痰瘀互結とは 痰湿が原因で瘀血が出来 瘀血が原因で痰湿が出来る と言うこと 子宮筋腫やガンなどの原因にもなる状態 どちらからでも相互になるのであれば 痰湿であるのか? 瘀血であるのか? など弁証する必要なくて楽だと思う方もいるかもしれません ですが…

瘀血と血瘀の違い

血瘀は血の巡りが悪い状態 瘀血はその状態が続いたことにより出来あがった 塊のようなものであり、病理物質 瘀血が有ることによりさらに血の巡りが悪くなることもあり どちらが先とも言い切れない部分もある 例えば大きいな怪我をして瘀血が出来るそれにより…

脾の統血作用とは

脾気の作用として統血があります。 血液を外側に漏らさない作用ですが 西洋医学で固摂を考えると血小板などの血液を固める働きと しっかりした血管をつくる力や働きと考える事が出来ます それらの原料を作るのが脾(胃腸機能)として考えると合点が行きます。 …

軟堅散結(なんけんさんけつ)

塩味のものやミネラルを多く含む生薬などや食べ物は軟堅散結(なんけんさんけつ)と言い堅く凝り固まった塊を軟らかくして崩す作用があると考えます。 堅く固まったものとは ①ガン・ガングリオン・麦粒腫などと言えばイメージしやすいですね ②便秘などで便が…