オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

特定の味を極端に好んだり嫌ったりする人の体質について

 

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特定の味をやたら食べたくなったり嫌ったりする事があれば、

どこかに不調を疑って下さい

中医学・漢方 ・鍼灸 には五味 と言う考えがあり、

五臓 のどこかに問題があると特定の味を求めたり嫌ったりすると考えます。

肝 →酸味 心→苦味 脾→甘味 肺→辛味

腎→塩味

五味と五臓の関係はそれぞれの臓腑の虚実 と関わりが深く臓腑の機能を理解するのにも役立ちます。

ただ 中医学で言う虚実とは、

邪実と正虚で日本漢方で言う人の体力あるなしではありません。

chinese-medicine.hateblo.jp

 五臓 邪実  正虚  五味

#肝 #気滞 #肝血虚 #酸味
#心 #熱邪 #心陽虚 #苦味
#脾 #痰湿 #脾気虚 #甘味
#肺 #気滞 #肺陰虚 #辛味
#腎 #痰湿 #腎陰虚 #塩味
といった感じですね。

またこの五味とは最も深く関わる味であって

肝=酸味

と考えてしまうのは危険です。

 

肝 

肝は気を巡らせる臓、酸味で収斂(引き締める)しすぎると巡らなくなる場合があり酸味を嫌う事がある。気滞(邪実)

また発散効果があり気を巡らせてくれる辛味を好むことがある。

 

肝の気を巡らせる機能を保つには肝血が必要でそれを逃さないのに収斂をしてくれる酸味を好む事がある。肝血虚(正虚)

また発散させることで肝血も消耗してしまう辛味を嫌うこともある。

肺は気を巡らせる臓、辛味で発散すると気が巡るので辛味を好む事がある。気滞(邪実)

また収斂してしまうことで気の巡りを阻滞させることもある酸味を嫌うこともある。

 

肺は嬌臓(きょうぞう)であり、乾燥を嫌うので、潤いを消耗する。辛味を嫌う事がある。肺陰虚(正虚)

また収斂することで潤いを保ってくれる酸味を好むこともある。


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心は陽中の陽と言われ、場所的にも臓腑の性質的にも陽な臓(心臓のポンプ機能と共に精神活動などもになう)、熱邪の影響を受けやすいので、熱を清してくれる 苦味を好む事がある。

もちろん心以外の臓でも熱邪がある場合は苦味を好むことはあります。

 

熱邪・火邪(邪実)
前記の様に陽な性質の心の陽が不足している状態は他の臓腑の陽も虚している可能性が高く危機的な事も多い(最終防衛ラインのイメージ)そんな時は陽を奪う苦味を嫌う事がある。心陽虚(正虚)

腎は潤いの根源、体の浸透圧をコントロールしています。

浸透圧はアミノ酸と塩類(ミネラル)で調整されているので、アミノ酸が不足するとそれを補填するタメに塩味 を好む事がある。腎陰虚(正虚)

またその潤いを保つ塩味の性質上、肺や肝など他の潤いが必要な臓の潤い不足でも塩味を求めることもあります。


腎が痰湿をうまく排出できない場合は浮腫を作る塩味を嫌う事がある。痰湿(邪実)

また津液の循環に関わる脾・肺・腎の機能低下がある場合も塩味を嫌うこともあります。


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脾は胃腸機能の事、脾気が足りないと即席で補ってくれる 甘味を好むことがあります。

間食が多い人もこのタイプが多い。脾気虚(正虚)

また脾は身体の中央にあると考え他の臓腑に気血津液を供給すると考えますので、脾の不調は全身に波及します。

ですので他臓の不調によっても甘味を求めることがあります。

ストレスを感じると肝が大量の気血を要求しますので甘味を欲しがります。

心は喜びを求めるので幸福感を与えてくれる甘味を欲しがることも。

 

胃腸が弱ると痰湿と言うむくみの様な物を作り出しやすくなりますので痰湿を増やす甘味や脂っこい物を嫌う事もあります。痰湿(実邪)

肝の不調で甘味を求めた場合、脾が弱っていることが多いので、甘いもの食べたくなったが実際に食べると気持ち悪くなるとのことが多いです。

肝脾不和といった状態です。

また痰湿と潤いは紙一重ですので腎陰・肺陰の不足を補おうと甘味を求めることもあります。


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#オックー中医学勉強会

で質問があった内容

酸っぱいものが凄く苦手なんですが

甘酸っぱいは大好きなんです

甘い物は気を補います

酸味は気の巡りを悪くする訳ですが

元々の気が足りない為に巡りが悪くなるのがつらい場合

補いながら収斂するので体質に合っているのでは。

ここから先は勉強会で話せなかった内容→

甘味は作用をマイルドにする働きもあるのでそれにより

酸味の効果のバランスが良くなっている可能性もあります。

酸味の反対の働きは辛味ですから

酸っぱ辛い物もよいと思いますが

辛味は気も発散してしまうことが有るので甘酸っぱい好きには合うのか試してみてもよいかもしれません。