生薬はなぜ効くのか(鉱物や貝殻)
漢方に使う生薬としては
植物とのイメージの方が多いと思いますが
それ以外にも動物や鉱物も使います。
人間も動物なので動物の生薬方がシャープに効くとの
「血肉有情の品」
との考えが有ったりしますが
生物は海から生まれたと言われ
海には様々なミネラルが存在しそれを生命活動に活用して来たはず
ですが陸に上がった生き物は常に飲食物からそれらのミネラルを吸収するしか方法がなくなりました。
そして体のミネラルのコントロールの中心は腎
そうするを腎が陸上で生きていくための生命維持装置として考えることが出来
腎が精*1を蔵すと言うのも納得できるかと
腎が鹹味(塩辛さ)に関わるのはこれが大きい。
こちらも読むとより理解が深まります。
今回はミネラルに関わる鉱物や貝殻の生薬について書きます。
石膏
これはギブスなどに使う焼き石膏が有名だと思います。
焼き石膏CaSO4・1/2H2Oは水分を含むとCaSO4・2H2Oとなり固まるのを利用ますが
漢方で使用するのは生石膏CaSO4・2H2Oです。
石膏は水に溶けにくいが少しずつは溶ける性質がある
また粳米*2(こうべい)などの他の生薬と一緒に煎じることでより煎じ液に溶けだす
白虎湯などに石膏・粳米が一緒に入っているのもそのための部分もあると考えています。
なかなか溶けないが石膏自体は二水和物(2H2O)を保持しているわけで体の潤い保持に大きく役立つのも納得できる部分
それゆえに浮腫みの強い人に使用する場合は慎重さも求められる生薬です。
滑石
滑石はとても粒子が細かく地面に撒くと滑ることから来た名前とも
ハロイサイト、カオリンのことで陶磁器の材料になったりします。
ケイ素を含む鉱物でとても吸湿性が高いです。
これらのイメージ
利尿作用があるのはこの吸湿性によるところもあるのではと思うのです。
牡蛎・竜骨
これらの生薬の主成分は炭酸カルシウム CaCO3ですが
竜骨は鎮驚・固渋にすぐれ
牡蠣は軟堅散結・益陰にすぐれる
などの違いがあるのは他のミネラル、アミノ酸の違いと考えることが出来ます。
西洋医学でもミネラルの有用性は証明されて来てはいますが
全ての組み合わせが証明されているわけではなく
東洋医学での経験をまだまだ使う価値はあるのでは?
と感じるところですね。