盗汗(寝汗)をなぜかくのか?
盗汗と言います。
盗汗は衛虚・陰虚・湿熱などで起こると言われますが
体の中で起こっていることを知ればより細かなアプローチが出来るので
西洋医学的知見も加えながら解説したいと思います。
そもそも寝ていて一番人間として熱を発生していない寝ているときに汗をかく意味とは何でしょうか?
寝ているときに大切なのは深部体温が下がることだと西洋医学的にも分かっています。
その部分から考えるとスムーズに熱が下がっていくのが理想なのに上手く熱を発散出来ていないのが原因と考えることが出来ます。
起きているときには問題とならない熱が寝ることにより不要になるということです。
衛虚での盗汗とは身体の表面の汗腺のコントロールする力が弱く汗が漏れ出してしまうこと
これを西洋医学的に考えると汗はかいているがそれにより冷えた皮膚表面の冷えを深部の熱を取るのに活用できていない状態なのでは?と私は考えています。
人の皮膚の表面積には限界がありいくら多く汗をかいてもそこからの気化熱で奪える熱は一定量を超えると増加しません。
ですのでここの効果の差は皮膚表面と内側の熱交換のスムーズさの違いと考えられるからです。
このような症状の時、効果的な桂枝湯などは営衛の調和という内側の血を補いながら外への発散をしてくれていることからもこの仮説を裏付けていると考えられ、
黄耆なども内側と外側の巡りを良くしてくれる生薬です。
陰虚での盗汗とは身体熱を冷ます潤い不足で汗が漏れ出してしまうこと
これを西洋医学的に考えると深部体温特に脳の熱を下げるのは頭部からの熱発散だけでは足らず脳血流のでにより脳の熱をスムーズに全身に分配して発散する必要があります。
中医学での津液(潤い)とはこの血液の働きも指していますので、これが不足すると上手く熱を発散できないので必要以上の汗をかいてしまいます。
湿熱での盗汗とは身体熱がこもってしまうので汗が漏れ出してしまうこと
湿熱とは痰湿に熱が絡まった状態
痰湿とは体液が上手く巡っていない状態ですから上手く熱を発散できないのは今までの話から明白ですしそこに熱があるのでより顕著になりますね。
衛虚・陰虚・湿熱からの盗汗は相互に関わりあいますのでどの問題が大きいかにより
治療方法の細かな調整で効果のアップがより期待できます。
また人間が起きて活動しているときは寝ているときより体の巡りが良いのが前提なので
日中によく汗をかく自汗との区別が生まれると考えています。
寝汗の治療の参考にこの内容が役立つのを願います。
*1:睡眠中に汗が出て目が覚めると止むこと