オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

寒気のカゼに葛根湯?

 

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寒気の風邪に葛根湯や麻黄湯というのはとても有名ですが

他にも多くの寒気の時に使う漢方薬は存在します。

例えば麻黄附子細辛湯や参蘇飲、小青竜湯、桂枝湯などです。

ではこれらの漢方薬の使い分けはどうするのかとても大切な部分なので書かせて頂きますね。

 

ここで大切なのはなぜ寒気が起きているかです。

寒気というのは外から病原体などが入ってきた時に

脳が基礎体温を上げることことにより免疫力を上げる必要があると判断するのですが、

実際にはなかなか必要な体温まで上げることに時間がかかるので

そのずれによるものと考えるのが一番わかりやすいです。

これをベースに考えていくと先ほど挙げた漢方薬の使い分けがすごく分かりやすいのです。

麻黄湯・葛根湯・桂枝湯

葛根湯や麻黄湯を使う時に寒気があり汗をかいていないというのが大切なのですがこれは体がスムーズに機能しているということも表しています。

もし寒気がするのに汗をかいていたとしたら汗はむしろ体を冷やしてしまうので矛盾した状態になります。

ですのでそのような状態でさらに体の機能をアップさせ汗をかかせるような葛根湯や麻黄湯を使うとむしろ疲れてしまう恐れすらあるのです。

ですからそのような時はゆっくりと体を温めてくれる桂枝湯などの方が良い事が多いです。

ちなみに葛根湯と麻黄湯の違いは麻黄湯>葛根湯>桂枝湯の順に温める力が強く発散させるというところですので、

葛根湯は麻黄湯と桂枝湯の中間みたいなイメージでいいと思います。 

麻黄附子細辛湯

では麻黄附子細辛湯を使う場合はどんな時なのでしょうか?

葛根湯や麻黄湯を使う時には寒気はあるのですが体温計で測ってみると体温もある程度上がっていることが多いです。

これは体が体温を上げようとしているがまだあげきれていないということを表しています。

ですが麻黄附子細辛湯を使うようなタイプの人の場合、とても強い寒気はあるのですが体温がそこまで上がっていないことが多いです。

さらには熱を上げることもできていないわけで汗をかいてもいません。 

このようなタイプの人は元々の体温も低いことが多くベースのエネルギーがないわけで病原体が入ってきて体は体温を上げたいのですがあげることすらできないという状態だと考えられます。

ですので麻黄附子細辛湯に含まれる附子のように体の奥にの熱エネルギーも足してくれるような生薬が入っている漢方薬を使う必要があるのです。

逆にそういったタイプでない人に麻黄附子細辛湯を使ってしまうと体にいらない熱をこもらせてしまったり、必要以上の潤いを消耗する恐れがあり危険です。

参蘇飲

では参蘇飲を使う場合はどんな時かといいますと

一つは葛根湯などを使って、 1度状態は落ち着いたがその後ぶり返してしまったりした状態の場合、

体力が落ちてしまっているので再度、葛根湯を使うのには適していないときがあります。

そんな時は人参などが入っており体力を補う作用も含まれた参蘇飲が有効な時があります。

またもともと体力がなく葛根湯などを使うと疲れてしまうなどという人の場合も使うことができます。

脾・肺が弱いために、また痰湿と呼ばれるうまく巡っていない体液が多くある人にも使います。

桂枝湯との違いは桂枝湯は温める過程で部分的な熱のバランスを崩している部分が大きく、参蘇飲は温める力がない部分が大きいと考えられます。

ですがこれらはキレイに分けることは難しく複合していることも多いので

組み合わせ使うと有効なことも多いですね。

青竜

もうひとつ書かせて頂いた小青竜湯についてお話すると

葛根湯や麻黄湯を使うのに似た状況の人で元々体の中に入らない体質が多い人が肺のめぐりが悪くなってしまったことによりサラサラの鼻水や咳などが強く出た場合に使います。

体を温めることにより水のコントロールを上手くするのがポイントで名前に青竜と入っているのも青竜が水をコントロールする神様がだからです。

そして何気にポイントなのが麻黄湯や葛根湯に入っている生姜は生の生姜なのに対し

青竜湯に入っているのは乾燥生姜である乾姜であることです。

生の生姜の特徴は外へ発散する力が強く乾燥生姜の特徴は体の奥の体温をしっかり上げる作用があります。

ですから小青竜湯は外で発散させることを強く考えた漢方薬ではなく内側からの冷えを取ることにより上手く水のコントロールをするのをポイントに置いた漢方と考えることもできます。 

 

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