ミロを子供だけに飲ませるのはもったいない(不妊治療への応用)
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ミロと言いますと子供の成長を助ける飲み物というイメージが強いかと思います。
確かに様々な栄養素をバランスよく含んでおり子供の栄養補給としても有効なのかなと思うのですが、
今回は麦芽飲料として考えた時に中医学的にどのように体に働くかについてお話しさせていただこうかと思います。
麦芽
性味 甘/平 帰経 脾・胃・肝 効能 健脾開胃、行気消食、舒肝(じょかん)、回乳
ミロに入っている麦芽が炒られたものか生のものかわからないのですが
炒られたものは健脾開胃、行気消食
生のものは舒肝、回乳
の効能が強いと考えられています。
麦芽を炒るときの最適な温度は70度前後です
これは麦芽が発芽する時に自身のデンプンなどを分解して栄養素として使うための酵素が最も働く温度です。
これは焼き芋が最も甘く焼ける温度と同じ
焼き芋はサツマイモ自体に含まれる酵素がデンプンを分解する事により甘くなります
ですので70度より低いとあまりデンプンが分解できず、70度より高いと酵素が潰れてしまいます。
ですので70度前後で炒ることによって麦芽の場合も
麦芽自体に含まれていたデンプンが分解されますが酵素の方は触媒として働くので量が変わることがなく
麦芽内に含まれる消化酵素の比率がより増すことによると考えられます。
ただ漢方の場合煎じて使うことが多くおそらく100度30分くらいの加熱することを考えると、デンプンが減ることは貢献していると考えられるが、炒った麦芽の健脾開胃、行気消食の作用は麦芽に含まれる消化酵素の作用と考えるのは難しいかもしれません。
麦芽に含まれる消化酵素の失活する温度など詳しい方がいれば教えて頂きたいです。
では生のものの方が効果の強い舒肝、回乳の作用とはどんなものなのでしょう?
舒とは
①のべる。のばす。のびる。ひろげる。「舒巻」「舒展」 ②ゆるやか。ゆったり。「舒緩」「舒舒」 [類]徐
などの意味がありますので
舒肝とは肝の緊張などを緩める作用だと分かるかと思います。
回乳とは母乳が詰まって痛みのある時や、授乳を中止しないといけないときに使用して母乳の出を抑えることです。
これらの働きについて考えていくと西洋医学の考えとオーバーラップする部分がとても多く面白いのです。
子宝治療などをしている人達で問題となることの一つに高プロラクチン血症というものがあります。
ストレスが強い人などに多いと言われ、出産しているわけでもないのに母乳が出てしまったりする人もいます。
母乳が出ている間は女性は妊娠をしにくいようになっているので、プロラクチンというホルモンの分泌を抑える必要があるのです。
西洋医学的に使われる薬としては麦角アルカロイドというものが使われています。
麦角アルカロイドというのは麦につくカビの一種が作る成分になります。
元々麦由来ではあるのですが成分的には全く違うものになります。
麦角アルカロイドが吐き気などの副作用を出してしまうことが多いのに対し、
麦芽はそういった副作用が少ないのもメリットです。
西洋的な作用機序は分かりませんが、麦芽はストレスなどによる緊張を抑え(舒肝)
それによってプロラクチンの分泌を減らしているのではと考えられます。
プロラクチンの分泌量が減りますと妊娠しやすい体作りにもつながるのです。
また帰経に胃が入っているのが面白く、
陽明胃経と言われる経絡中に乳中というツボがあります。
乳中と言われるツボは乳首のところで針を刺してはいけないと言われているツボだったりします。
さしてはいけないのであればツボである必要がないのではないかと思うのですが、
母乳の出なのに胃が関わっているというのを昔の人が知っていたのでそこにツボ割り当てたたのではないかと私は考えています。
ですのでプロラクチンが高いなどと病院で言われた方は、ミロを飲んでみるのも良いかもしれません。
また男性不妊の場合もストレスが大きく関わることが多いのでミロでストレスが和らぐことを考えて飲んでみるのもおすすめかもしれないのです。
ミロの弱点としては糖質の量が多いので結構甘く飲み過ぎは痰湿といういらない体液を作ってしまうのでそこは注意した方がいいかもしれません。