治療の陰陽について
漢方・鍼灸治療をしていると
弁証などの見立てが正しくても効果が劇的に出る場合と出ない場合があります。
そこの大きな違いは何か?
それはその病の原因が陰にあるのか陽にあるかの違いにあります。
陰とは実体のあるものと考えまして
陽とは物の変化のことを指します。
実体がないものを補っていくのには時間がかかりますから陰の問題が大きい場合は治療に時間がかかるのは当然と言えます。
また痰湿や血瘀という状態は津液や血がうまく巡っていない状態のことを指しますので
巡っていないものは物体であり陰ですが、巡っていない状態というのは陽だと捉えることが出来ます。
気滞のように気だけの問題と比較すると変化は少なくなりますが、血虚や陰虚などよりは変化が早いことになります。
ですので脈診の話の時に書いたように、脈の変化が鍼灸の施術前施術後で大きい場合は陽の問題が大きいと考えることもできます。
そして鍼灸の治療によって行うのは体のバランスを整えたりして本来の形にしていくなどの治療となりますので、基本的には陽をコントロールしていることになります。
ですので陰虚や血虚と言った問題がある場合鍼灸では直接補うことが難しいです。
もちろん元々あった機能していなかった痰湿・瘀血が機能するようにすることによって陰虚血虚が良くなることもあるので全てにおいて無理だというわけではないですが
根本的な底上げには胃腸を強くするなどをして外部から取り込める状態を作るなどを考える必要もあります。
そんな場合には鍼灸治療でだけではなく食養生などのアプローチもしていく必要が出てきますので、薬膳などの知識は鍼灸師さんにも大切な知識だと考えています。
またそれでも足りないような場合は漢方薬の併用なども考えていきたいものです。
漢方薬は直接ものを体に入れるのでそういった部分が得意です。
ですが胃腸が極端に弱いと漢方薬も負担になってしまうのでその部分のフォローとしての鍼灸も有効です。