オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

痰湿の陰陽について

これはよく鍼灸師の国家試験などでも出されるタイプの問題なので多くの方が正解したのでは無いでしょうか

痰湿は身体に良くないものですから邪なのは間違い無いですし

要らない体液や巡っていない体液のことで

下半身に影響が出やすいですし、一度出来ると症状の治りも悪く、気機の運行を阻滞し陽を損傷しやすいのなど陰の性質が多いです

ですから痰湿は陰性の邪だと言えます。

次の2つの問題はまず鍼灸師の国家試験では出ないタイプの問題です。

まず正邪と言う部分では

正とは人の身体にとって必要なもの

邪とは人の身体にとって要らないものや上手く機能しないで詰まったもの

なので痰湿はまず邪なのは間違いありません

ですが陰陽に関してはどちらが必要なものどちらが不要なものとの概念はありません。

さらには何を基準にするかによって陰陽が変わってくるのです。

 痰湿と津液を人に与える良い反応の部分を考え

といった場合は人にとって良い働きが多いものはしっかり機能している津液の方となります。

痰湿と津液を人に与える悪い反応の部分を考え

といった場合は人にとって悪い働きが多いものはしっかり機能しいない痰湿の方となります。

そして陰陽の違いとは

陽は機能・動き・熱

陰は物質・動かない・冷え

となりますので働きが多いほうが陽となります。

そうすると

痰湿と津液を人に与える良い反応の部分を考え

これは津液の方が人への働きが大きいので陽となり痰湿は相対的に陰となりますね

ですので答えは「邪で陰」

痰湿と津液を人に与える悪い反応の部分を考え

これは痰湿の方が人へ悪い働きが大きいので陽となり津液は相対的に陰となりますね

 ですので答えは「邪で陽」

 となります。

 

言葉遊びのように感じられる方も多いかもしれませんが

例えばガンや腫瘍などの原因は瘀血や痰湿といった陰性の邪が原因と言われますが症状が進行してくると様々な不調を引き起こします

これはガンや腫瘍が引き起こす身体に悪い働き(陽)のため

ガンや腫瘍を陰性の邪なのか?陽性の邪なのか?

などと言うこともありますが結局どの部分指しているかによって陰陽は変わってしまうとのことです。

 

また正邪に関して例えをかうと

肌の潤いがなく津液や血を増やしたいとすると

それを求めている臓である肺・肝にとってそれを補う生薬は正になりますが

それを補うためにキャパオーバーの生薬などを投入されれば

それを受け止める脾に取っては邪になります。

 

こういった様に常にどの部分を切り取って考えているのかのトレーニングとして

陰陽を意識してみるのは如何でしょうか?