漢方・鍼灸を運用していて思うこと
経絡の流れを見ると面白いのですが
陽明胃経以外の陽経の経絡は全て大椎と交会しています。
風邪は外感邪ですから外側から入ってきます。
経絡で特に外側に関係していると考えられるのは、
陰経の経絡より陽経の経絡です。
それらが交会するところから風寒邪が入るとはよく考えられているし
そこから入るのを知っていたからむしろそこで交会すると考えたのかもしれません。
弁証の一つに六経弁証というのがあります。
六経などと書かれているのですから経絡の流注に沿って順番に病気が進んでいくと思いがちですよね。
経絡の流注で考えた場合
太陰肺経→陽明大腸経→陽明胃経→太陰脾経→少陰心経→太陽小腸経→太陽膀胱経→少陰腎経→厥陰心包経→少陽三焦経→少陽胆経→厥陰肝経
になりますが
そのような順番で病気が進んでいくわけではありません。
この弁証は風寒邪にやられた時に病気が進行していく変化を判断し
その状態への対応について論じていると考えた方が良いです。
現代中医学では臓腑弁証を重視する傾向にありますが
外部の天候変化などによる体調の不調に対してのアプローチにこの六経弁証を使うととても有効なことが多いので私もよく臨床応用させて頂いています。
中医学でも気のめぐりに対して大きく関わっているのは肺と肝考えるのですが
どうしても漢方治療の場合、肝のウエイトの方が高いように感じるのです。
鍼灸を勉強するようになってより気の巡りに対する肺の大切さを意識するようになりました。
肺は皮毛を主りますので鍼灸の刺激する部分は全て肺へのアプローチという部分があると考えられるのです。
ただ中医学の場合、漢方理論が先にありそこに鍼灸理論を合わせて考えている部分があると思うのです。
漢方の得意なところは薬物を体に入れて実際に物を増やしたりすることができることですから、肝へのアプローチも肝血を増やすというところを重視できるのですが
鍼灸の場合はそこが苦手ですからそこをほったらかしにすると中医学で弁証したのに実際には効かなかったということになりかねないのです。
ですから弁証を立てた時に陰血の問題なのか陽気の問題なのかを判断し
陰血の問題が強いようであれば食養生や漢方などの併用があってこその治療と言えるのです。