心因性疼痛を中医学で考える
一般に心因性疼痛と呼ばれるものは
— オックー@漢方(中医学)+鍼灸 #オックー中医学勉強会 (@okukatu42) December 20, 2020
中医学で肺・肝・脾・経絡の関係で考えるとイロイロなアプローチが出来るとの話しをさせて頂きました。
ご本人の体験もある話しなのでより納得してもらえたと思います。#心因性疼痛 #中医学 #漢方 #鍼灸 https://t.co/jx3werg83b
心因性疼痛などと言うと気のせいでの痛みと思う方も多いかと思いますが
ヘルニアなどの物理的な痛みがあった方がその状態が治ったのに痛みが続くような場合は
その長期の痛みによって、脳の機能異常が起こり痛みに過剰に反応してしまっているなどと考えられます。
ですのではこれは気のせいなどではなく実際に痛みを感じる症状であります。
ですので西洋医学では抗うつ薬などを使ったり行動認知療法などによって脳の機能の正常化を図るというようなことをします。
ですが診断としては物理的な問題が発見できない場合に心因性疼痛の可能性が高いと判断するわけです。
まだ分かっていないような原因あるかも知れないので、それで全てが解決するとは考えられないかもしれません。
では中医学で考えた場合このような状態はどういった状態を指すのでしょうか?
まず外部からの痛みなどか実際に起きる状態としては外傷やヘルニアなど実際の器質的な問題から始まるかもしれません。
そうすると人間の体の巡りは阻滞されますので、痛みを感じます。
中医学では部分的なつまりがあると痛みが生じると考えます。
ですから人間の体はそういった状態が起きないために常に巡りを維持していなければいけないわけです。
その機能を担っているのが肺と肝になります。
肺は特に身体側の動きとしての巡りを良くする働き
肝は脳側の司令としての体の動き巡りを良くする働き
をそれぞれになっていると考えています。
ですので最初の段階で問題を受けるとしたら肺の部分なのでしょうが、
体がスムーズに動いていないと脳の方もそれに合わせなければいけなくなってくるので機能がおかしくなってしまうことがあります。
中医学では肺と肝は相剋の関係と考えられお互いに抑制し合う関係だと考えます。
この流れで行くと西洋医学で言われている心因性疼痛の仕組みととても似ているのが分かると思うのです。
ですので肺と肝を整えて気血のめぐりを本来の形にしてあげれば痛みが取れるとも考えられるのです。
ですが今お話ししたようなことが肺→肝と問題が進んでいったと考えると、さらに病状が進んでいく可能性も考えられるのです。
先ほど肺・肝が相剋の関係であると言いましたが、肝と相剋の関係にあるのは脾なります。
ですのでこのような状態が続くと脾のほうにも問題が進展していく可能性があります。
脾とは西洋医学でいうところの胃腸の消化機能などのことを指すので、脾が弱ると気血を作ることができなくなります。
肺・肝の機能も脾が作った気血に支えられているのでより病状が進展するとも考えられますし、脾は体に大切な気血を作るとともにうまく機能しないと痰湿と言う機能していない体液のようなものを作り出してしまうと考えられます。
痰湿は機能していない体液のようなものですから体中の色々な場所に詰まりを作り出します。
その詰まった部分が経絡であれば体への痛みを感じることになります。
こういった場合の痛みのケアとしては痰湿の原因となっている脾のケアとともに脾に問題を起こした肝へのアプローチも考えなければなりません。
どちらに対して強くアプローチするかなどはその時の状態によって細かなさじ加減が必要になります。
また脾と肺は相生の関係であると言われ脾が弱ると肺の機能をしっかり維持することができなくなると考えます。
その部分からも体の気血のめぐりが悪くなる可能性があると言えるのです。
ですので今までお話ししたように肺・肝・脾などの臓腑などや問題残っている経絡へのアプローチをしていけば痛みへの改善が期待できるのが分かるかと思います。
また中医学でいうところの心に関する話が今回出て来なかったのは、心は精神活動の中心で思考を司っていますが、西洋医学での説明でしたように本人が痛い痛いと思っているというよりは脳の方が勝手に痛みを感じるような状態になってしまっていると考えられるので理性的に考える部分より本能的な部分や無意識の部分の方が大きいと考えられるからです。