オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

相剋→相生→相剋の三角形②

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今回は

心→肺→腎→心のつながりについて書いて行こうかと思います。

心→肺

相剋→相生→相剋の三角形① で書いたように

心と肝は共に西洋医学でいうところの脳の働きの部分もあり

似ている部分もあるのですが、どちらかと言うと本能的な部分の脳の働きである肝に対し心は精神活動や思考などに関わる脳の働きと言えます。

また心のもう一つの働きは西洋医学でいうところの心臓の機能と言える部分もあり、体中に血液を送り出すポンプとしての機能も持っています。 

ただ脳は最も体の中で血液の栄養を必要とする臓器でもありますから、脳が活発に働くことは直接心臓のポンプ機能の機能亢進にも繋がります。

ですので昔の人は精神活動と心臓のポンプ機能が連動していると考えたのかもしれません。

まず心が弱る原因として考えられるのは、過剰な精神的なストレスなどや睡眠不足などが考えられます。

また肺の呼吸機能は、心から送り出される血液によって維持されている部分が大きいです。

ですからそれが減ってしまうと肺も弱ってきます。

ですがその血液に酸素を与えているのは肺だったりするので、少し複雑な部分ではあります。

また心のポンプ機能以外の部分が弱った時にも肺が弱ることがあります。

精神的な機能の弱りの場合、脳がより栄養を求めるわけですから、肺からの酸素をより要求し呼吸がむしろ浅く早くなってしまうことも。

ですから心が弱ったことによって肺が弱ってしまった場合のケアとしては、精神的なストレスを減らしたりしっかりした睡眠をとりつつ、深呼吸なども意識していくこれはこれから書く、腎の部分にも繋がります。

このような部分の心・肺・腎の三つの臓腑の関係が気管支喘息や心臓喘息などの症状として考えられるかもしれません。

また心の機能が亢進しすぎると熱を持ったりしますので、体の潤いを消耗してしまったりもします。

潤いがとても大切な肺はそれによって弱ってしまうことも考えられます。 

肺→腎

肺は大気から気を取り込み、それを腎に納めるという作業をします。

ですから肺が弱ってしまうと腎も弱ってしまいます。

この部分でも深呼吸などが良いのがわかるかと思います。

また腎は体の潤いの根本であると考えられ、体の表面の機能に関わる肺は外部からの乾燥などから体を守っているとも言えます。

ですから肺の機能が低下しますと、表面から身体全体の潤いまで減ってしまいますので腎の潤いも次第に消耗して弱ってしまいます。

また肺は全身の気血津液の巡りにも関わっている臓腑で、腎は最終的に入らなくなった尿などを排出する臓器ですから、途中の巡りが悪くなってしまうことによって腎が弱ってしまうこともあります。

排尿などの問題があって腎のケアでうまくいかない場合に肺のケアをすると良くなったりするのもこのためです。

腎→心

先ほどにもお書きしたように腎は体の潤いの根本であるという考えがありますし、身体や脳自体であるという考えもありますので、 

腎が弱ると脳自体が弱ることによって脳の考える力なども低下します。

脳の考える力とは心の機能だったりしますので腎が弱ることによって脳も弱ると考えられるのです。 

また脳は大きさからするととても大きな熱を発散する臓器です。

ですのでその脳を冷ますにのに脳の周りだけからでは足りなく全身を使って脳の熱を冷ましている部分も大きくあります。

これを東洋医学的に考えると心腎交通というのです。

腎の機能が低下するとこの脳を覚ます機能が低下しホットフラッシュのような状態が起きてしまったりします。
 

こちらも参考になるかと思います。

また腎の機能としての排尿システムとしての仕組みは心から送り出される血液によって支えられている部分も大きく、腎臓の機能がうまくいかない場合により血圧を上げることによってそれを補おうとしたりすることもよくあります。

ですので腎不全などの状態の時に血流改善の漢方薬などを使うのが有効なのが分かるかと思います。 

またこの心と腎の関係の調整をしている部分での肺の巡りの機能は大切ですので、 その部分の調整する意味合いとして黄耆などの生薬を使うこともよくあります。