オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

子午流注で臓腑の繋がりを考える

f:id:okukatu:20211019173827j:plain

子午流注

経絡は肺から始まると考えられています。

これは肺が全身の気のコントロールに関わり

百脈に朝すと言われるところに通じるところがあります。

朝血圧が上がるのもこれから身体を動かしていくのに備えている部分が大きいです。

逆にこれが出来ない人は朝起きるのが苦手だったり、動悸がしてしまったりすることもあります。

また肺と対角線上にある膀胱は要らなくなった体液を排出する部位

全身の津液の巡りに関わる肺との関係は深い。

麻黄などの生薬は肺と膀胱に帰経があるのも納得です。

過活動正膀胱などに麻黄が入った漢方を応用することも出来ます。

 

大腸

肺と表裏の関係にある大腸は肺の気を下に下ろす力によって排便機能を維持しています。

ですので肺の弱りやすい秋には便秘の人が増える傾向にあります。

また排便には対角線上にある腎の力も影響します。

「腎は二陰に開竅す」と言います。

また腎の時間に食事をすることで大腸の時間にしっかり排便できることにも繋がります。

またこの時間に排便したいと感じたら優先順位を高くしてしっかり排便するべきです。

1度タイミングを外すと便秘になってしまうこともあるからです。

 

胃は大腸と同じ陽明経に属します。

胃は食べ物が入るところ大腸は出るところですから、大腸につまりがあると食欲の低下などにも繋がることもあります。

また詰まると瘀熱といった熱も生まれることがありそれが胃に入ると過食傾向になることがありますが大腸が詰まっているので結局多くは食べられないや詰まりがさらにつらくなることもあります。

この陽明経の問題がある場合は承気湯類を使ったりします。

また胃と対角線上にある心包と胃は近いので胃の熱は心包に移りやすいので睡眠の質にも関わります。 本当は腎の時間帯に食事は取りたいものですが実際は難しいですよね 遅くなる場合は、より過剰に食べ過ぎないように注意しましょう

 

脾胃は表裏の関係にあります。

脾気と胃気は完全に分けることが出来ません

胃は食べ物を入れていきそれの処理の部分が脾と考えると良いですね。

なので胃の機能は脾が下支えしているとも言えます。

f:id:okukatu:20201018113417p:plain

脾は身体の中心と考えますので冷やすのは良くないです。

また脾と対角線上にある三焦は気血津液が通る通路です。

気血津液は脾が作り出しますから三焦と脾の関係は深いと言えます。

ですので三焦が詰まってしまうと脾も上手く機能しなくなることがあります。

少陽病と言われる状態ですね。

こういった時に食べる気はしなかったが少し食べると意外と食べれてしまうということが起きることがあります。

脾から気血津液が供給されることにより三焦が通り始めるからです。


www.youtube.com

脾と心の関係は相生

脾の機能は心血に支えられその心血を生み出すのは脾です。

f:id:okukatu:20201006170350j:plain

帰脾湯は脾を整えそれにより心血を作る処方ですね。

脾(子供)から心(親)に帰っているわけです。

心は心臓のポンプ機能だけでなく精神活動にも関わっています。

日中は最も精神活動が活発な時期でもあります。

また真夏の正午は最も一年のうちで最も陽が充実する時期ですので、その時間帯に少し陰を取ると体調に良いこともありお昼寝などをお勧めすることもあります。

陽中求陰ですね。

もちろん寝過ぎますと夜寝れなくなりますので適度な睡眠で、寝すぎてしまう人なのは寝る前にコーヒーなどを飲み、ちょうどコーヒーが効いてきて目が覚めるなど良い方法です。

f:id:okukatu:20211023142645p:plain

また心と対角線上にある胆は、精神活動や決断などに大きく関わる臓腑です。

心気が弱ると胆も弱り心胆不寧と言われるような状態になりますので悪夢を見るようになったり決断がしっかり出来なくなってしまったりします。

また心気を支えているのは心血で心血をしっかり養うには胆の時間にしっかり寝ておくことが大切です。

 

小腸

心と小腸は表裏の関係にあります。

ですので心の熱は小腸に移りやすいです。

小腸湿熱による膀胱炎などを治療するのに清心蓮子飲などが使われるのはこのため。

また小腸経の経絡は肩周りに走りますので肩こりなどに影響することも多いです。

この時間帯に肩を動的ストレッチするなども良いかもしれません。

冠元顆粒などが肩こりに良いのもこの経絡の関係などを考えるとより面白いと思います。

また小腸と対角線上にある肝は胆汁の生成に関わります。

胆汁は小腸の十二指腸部分から腸管内に分泌されます。 

ですのでSIBO(小腸内細菌異常増殖症)なども肝の疏泄の以上と大きな関係があります。

 

膀胱

小腸と膀胱は同じ太陽経に属しますので小腸の時に書きましたが小腸の湿熱は膀胱に移りやすい。

これは小腸が食べ物を必要なものといらないものに分別しいらないものを膀胱から排出すると言った仕組みにも由来します。

また膀胱経は小指の先から頭のてっぺんまで背面を大きく走っていますので、上下の体のバランスなどにも大きく関わっていたりします。

ふくらはぎなどをマッサージすると高血圧などにも良いのはこのためだったりもします。

ですのでこの時間に背伸びをしたりふくらはぎのマッサージをするのは良いことだと考えられます。


www.youtube.com

腎と膀胱は表裏の関係です。

腎は膀胱の働きをコントロールもしています。

また腎は排尿などの体液コントロールだけでなく、生命の根源であり身体自体であるとの働きももっています。

ですので腎は成長と共に発達し老化と共に衰えます。

しっかりした身体作りにはこの時間の食事も大切です。

補腎漢方薬を1日1回のみ飲むならこの時間帯をススメたりすることもあります。

 

心包

腎(命門)に宿る火は心の君火を心包が相火として受けとり三焦を通り命門に宿るとの考えがありますので、心包と腎の関係は深い。

chinese-medicine.hateblo.jp

心は心臓のポンプ機能と精神活動をにないますが、心包はよりポンプ機能の側面が強いです。

ですので身体の巡りに大きく関わります。

 

三焦

脾が取り込んだ気血津液が通る通路が三焦です。

ですので全身に血液を送り出す心包との関係は深い。

この時間帯には横になり重力の束縛から解き放つのが大切です。

 

胆と三焦は同じ少陽経に属します。

肝の精気から化生した胆汁を貯蔵しています。

また胆汁の分泌は肝の疏泄作用によってコントロールされ脾胃の機能を助けます。

胆汁は腸管内で循環をしていていますので、全身の循環に関わる三焦とのつながりもあると考えられます。

 

胆と肝は表裏の関係

肝胆の時間に睡眠を取ることは血の充実にも繋がります。

肝と肺は共に気の巡りに関わります。

肝は脳の司令の要素が強く

肺は身体側の動きの要素が強いです。


www.youtube.com