オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

舌の動きや形について

老舌(ろうぜつ)

舌面の紋理がきめ粗く、舌体が堅くしまった感じで、色が濃く

見えるもの

シワの多い皮膚の粗い老人の顔のように見える

このような舌は実証の人に多いと考えられる舌です

嫩舌(どんぜつ)

舌面の紋理がきめ細かくてしっとりと潤いがあり、舌体がはれぼったくて軟らかい感じがするもの

嫩は柔らかい・若々しいとの意味があります。

一般に虚証が主体であると考えられますが、痰湿などの実邪が絡んでいることもあります。

痩薄舌(そうはくぜつ)

気血不足によって舌がしっかりと育っていない状態で舌が細かったり薄かったりする状態を指します。

また陰虚が強い場合は虚熱により舌が赤くなったり苔がなくなったりしていることがあります。 

また舌の歯型やむくみについてはこちらに書きました

舌の動き

また舌をしっかり出せないような状態であれば極端な虚がある可能性があります。

舌が震えて止まらないような場合は脳神経系などに問題が起きている可能性もあるので西洋医学の病院での検査は必ずしてしまった方が良いです。

また舌を出した時に片側に曲がったようになってしまいまっすぐ出せない方の場合も同様です。 

舌診での舌の色について

舌に向かう動脈は舌深動脈で舌尖部に向かいその後

静脈に回収されます。

ですので心肺機能の影響が舌先に強く反映されます。

ですから上半身に熱がこもっている人などはした先が赤くなりがちです。

f:id:okukatu:20201122200552j:plain

またこの図では舌の付け根のあたりが腎の領域となっていますが

舌は顔についている器官でもあり下半身などの情報はなかなか見ることはできません。

ただ舌の付け根にある舌下腺などの唾液腺は腎の経絡の影響を受けているのは間違いありません。 

さらに付け根の部分が細い方は元々のベースが弱いと考えられるので腎が弱いとも考えることが出来ます。
 

また歯痕のところでお話ししたように舌の筋肉の力であったりボリュームを支えているのは胃腸の機能であり、舌の中央部の充実を見るのが胃腸の状態を見るのに大切なのは必然なのかもしれません。

これもまた歯痕のところで話した話ですが舌の筋肉の細かなコントロールは肝が行なっているわけで、そこがうまくいかないと歯痕とならなくても舌のサイドの色にも影響を及ぼすのではないかと私は考えています。

また細動脈のコントロールは肝がやっているのでその部分もサイドの赤みに関与している可能性があります。

ですので下の横の部分が極端に赤い場合などは肝胆に問題があるのではないかと考えられます。 

また血流の悪い人の舌は紫がかった色になっていることが多いです。

血液の色は酸素が多いと鮮やかになり少ないと暗赤色になります。

ですから血流が良い人の場合ドンドン新鮮な酸素のある血液が供給されているわけで舌の色が淡いピンク色なのが理想なのが分かるかと思います。

血流の悪い方の場合はその逆ということですね。

また部分的に瘀斑と言って黒や強い紫の斑点のようなものが舌に見える場合がありますがこれは部分的に血管が詰まり血液が流れなくなってしまっていると考えられます。

特に舌先の瘀斑は動脈の影響を受けやすい部分の瘀斑ですから、動脈瘤などの恐れが考えられます。

 また舌の裏を見ると静脈が走っているのですがこの静脈があまりに太かったりうねうねしていたり長すぎる場合は血流の悪さを表しています。

これを舌下静脈の怒張と言います。

こちらは静脈の状態がダイレクトに見れているわけで身体の他の静脈でも異変が起きている可能せいがあります。

健康な人の舌の場合は長さが舌尖までの2/3くらいの長さまでで太さが2.5 mm から2.7 mm 以下ぐらいと言われています。

また極端に細すぎたり見当たらないような場合は血虚が疑われることもあります。 

舌全体の色としては淡いピンク色がよくあまりにも赤すぎる場合は熱がこもっていると考えますし色が薄すぎる場合は冷えがあるか血が足りないと考えます。 

人間は体に冷えを感じると熱を逃がさないために末端への血流を減らします。

ですので末端の血液が減り色が薄くなると考えられます。

また血流が低下するわけですから寒凝血瘀といって舌が紫掛かることもあります。

これと普段の血瘀での紫の違いは色だけで区別することは出来ません。

寒暖差などで舌の色が変化するかなども確認する必要がありますね。

また逆に熱がこもるとその熱を発散するために心肺機能が更新しますのでどんどん血液が末端に送られ舌は血管が透けて見えるような状態なのでそれがすぐに分かるということですね。


 

脈診はウソ発見器

 

ここに書いたように

脈診で気の変化を見ているのは動脈の血管壁の筋肉の動きと心臓の押す出す力の部分になります。

これらの筋肉はどちらも不随意筋と言われ自分の意思でコントロールすることはできない筋肉と考えられます。

ですが感情の変化には敏感に反応する筋肉でもあります。

ドキドキしたりすると脈拍が速くなったり、緊張すると動脈壁が硬くなっなったりします。

よくドラマなのでも出てくる嘘発見器などは脈拍の速さと肌の発汗などを確認して嘘をついているかどうかを判断するわけですから

脈診でも脈拍の速さの変化肌の汗の状態などが確認でき、さらには動脈の壁の筋肉の緊張感までわかるわけですから、嘘発見器より正確な情報が得られる可能性すらあります。

ですので脈診をする時には精神的に安定していることによって落ち着いている時の脈と患者さんと会話をしたことによって変化する部分を比較してみるのも一つの手と言えます。

この変化が大きい場合は患者さんの気持ちの核心をついている可能性もあります。

また変化ができるということは気がまだ充実しているとも捉えることもできます。

そして陰血や痰湿の情報はこういった感情の変化ではすぐに変化しないので変わらない部分であると言えます。 

 

 

陽明大腸経の流注について

f:id:okukatu:20201120213429j:plain

太陰肺経で書いたように陽明大腸経は商陽から経絡が始まります。

肺・大腸は表裏にあると考え

肺が陰でより内側

大腸が陽でより外側

とも考えますので肺より大腸経の方が強く反応が出ることも多いですし

外からの邪の影響を受けやすいとも言えます。

商陽から始まった陽明大腸経は肩の巨骨に至りそこから秉風(太陽小腸経)→背骨上の大椎さらに内側を通り鎖骨上窩の欠盆へそこから天鼎と複雑に繋がっています。

外感邪は大椎から入ると言うのも免疫を司る肺経の表の表である大腸経からだからと考えることも出来ますね。

さらに天鼎から扶突と喉を上がったのち下顎に入りその後

口唇をはさみ地倉(陽明胃経)→禾髎→鼻下の人中(督脈)を通って左右逆の迎香に

ですので下顎に不調がある時は陽明大腸経に問題のあることがあります。

また迎香は人の嗅覚に影響の大きなツボですがこのツボが左右反対の経絡から繋がるのも興味深いです。

西洋医学的に考えるとほとんどの運動や感覚は左右反対の脳により支配されていますが

嗅覚は左右が交差していないんです。

古代人が観察でこれを知っておりあえてここを交差させたのでは?

なんて考えると面白いですね。

陽キャ・陰キャ・インターネット社会にある陰陽について

こういった話はよく出てくるのですが

陽キャ陰キャというのは明るい人や暗い人というイメージですが

陰陽を切り口を変えて考えると

キャラクターというイメージを出しているのはその人の行動であってそれが陽

その人自身は陰と考えることができます。

陰とは実体のあるものでを生み出すことができるものと考えるからです。

そう考えると陽キャ言われる人は

陽が充実しているわけですからそれを生み出す陰も充実していると言えます。

人々が陽キャという人たちに良い印象を感じるのは

明るい行動であってエネルギッシュな人であるということでしょうから

陰陽両方の部分を含めて素敵だと思っているわけです。 

また陽は陰を消耗するという考えもありますので

陰が少ない人が陽キャを演じると陰を消耗してしまい疲れてしまうことがあります。

また陰が少ない人があまりに陽が強い人の近くにいると疲れてしまうのもそのためだと考えられます。

陽キャの人の陰が素敵だと言えば間違いのない表現なのかもしれませんね。

 これも先ほど話したことから考察するとわかりやすいのですが

インターネットが普及して多くの人とコミュニケーションをとるという行為は

より動きが激しくなるわけですから陽と考えることができます

ですがそのコミュニケーションを取っているのは人(陰)なのです。

激しいコミュニケーションは人を疲れさせますから

より自分と同じ考えをしている人を見つけて集団を小さくすることによってその消耗を減らそうとするのは自然の摂理なのではないでしょうか。

直接人と会ってコミュニケーションをする場合はその人自体という陰も見ながら話すわけですが、インターネットという場合は文字であったり情報だけ(陽だけ)でのやり取りになりますから

より陰陽のバランスをとるのが難しくなってくるとは思われます。

よりそういったバランスをとる方法を今後

人類は考えていかなければいけないのかなって思うところでもあります。

 

また陰陽転化とはとても便利な言葉ですがより大きな括りであったり小さな括りで陰陽を見れば実は転化ではないこともあります。

ただ同じ尺度で見ていると転化はしてるんですけどね。

www.youtube.com

太陰肺経の流注について

f:id:okukatu:20201118171333j:plain

太陰肺経は中焦からおこり下って大腸に絡した後に再度上に上がり胃口を循り膈を通過して肺に属すると言われます。

この流れはとても面白く肺の中医学的機能に免疫機能があるのですが

現代医学的には大腸の盲腸は免疫機能に関わるリンパ組織が発達しています

さらには肺の近くには胸腺と呼ばれる組織がありここは全身の免疫が機能するように指導する部位でもあるのでこの二つの臓器が表裏関係にあると考えるのも面白いですし経絡でもつながっているのが分かるかと思います。

また流派によって考えは違いますが難経では腹診の際、右側のお腹の反応は肺の反応と考えます。

右側のお腹考えると

f:id:okukatu:20201220155914j:plain

盲腸があり、西洋医学での小腸のパイエル板(集合リンパ小節)は回腸の後半である

大腸に近い部分に多く、これらはリンパの免疫機能と密接なことからも右側のお腹の反応が肺と関係していると考えられるのかも知れない

 

大腸から上昇した経絡はその後、喉に至り横に移動して中府から体表に出てきます

ここに書いているように太陰脾経は逆に中府から体の中に入るんです

中府から親指の少商に至ります

また分支は列缺から別れ第2指の商陽で陽明大腸経と交わります

陽明大腸経は再び喉に向かいます。

列缺は折り返し点とも言え頭項は列缺に尋ねると言われるのもそのためかも知れません。

また列缺は任脈に通じていると言われるのでそのための部分もあると思われます。

 

 

 

 

少陰腎経の流注について

f:id:okukatu:20201119163521j:plain

少陰腎経は足の小指から始まり(小指の外側には膀胱経の至陰)

足裏の窪み湧泉に斜行しそこから内踝を周りその後、上に

また途中に三陰交で厥陰肝経・太陰脾経・少陰腎経と足を通る陰経が全て交わります。

その後尾骨の先端の長強へ至り督脈と交会し脊柱を貫いて腰に至り腎に属して膀胱に絡しますが

これは腎が髄を作るとの考えとも繋がりますね

また別枝は長強から会陰に会陰は任脈のツボであり

任脈は少陰腎経と共に生殖に大きく関わるところあり納得ですね

仙骨神経が排尿などに大きく関わっているのもこの流れが示していると考えられますね

会陰からは体表の横骨に繋がり兪府に至ります

途中、任脈の中極・関元とも交会します。

それとは別に腎から身体の内側を上昇して肝・隔膜を貫いて肺に入り喉を通り

舌の根元へ

こちらで書いたようにネバネバの唾液の分泌に関わります。

また腎は納気に関わり特に吸気に影響します

ですので腎の不調は喘息などにもつながるのですが

喘息の問題は気管の収縮と炎症これにも腎が関係しているのが分かりますね。

また肺に入ったところで一部は心に絡して厥陰心包経と交わります。