オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

舌診での舌の色について

舌に向かう動脈は舌深動脈で舌尖部に向かいその後

静脈に回収されます。

ですので心肺機能の影響が舌先に強く反映されます。

ですから上半身に熱がこもっている人などはした先が赤くなりがちです。

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またこの図では舌の付け根のあたりが腎の領域となっていますが

舌は顔についている器官でもあり下半身などの情報はなかなか見ることはできません。

ただ舌の付け根にある舌下腺などの唾液腺は腎の経絡の影響を受けているのは間違いありません。 

さらに付け根の部分が細い方は元々のベースが弱いと考えられるので腎が弱いとも考えることが出来ます。
 

また歯痕のところでお話ししたように舌の筋肉の力であったりボリュームを支えているのは胃腸の機能であり、舌の中央部の充実を見るのが胃腸の状態を見るのに大切なのは必然なのかもしれません。

これもまた歯痕のところで話した話ですが舌の筋肉の細かなコントロールは肝が行なっているわけで、そこがうまくいかないと歯痕とならなくても舌のサイドの色にも影響を及ぼすのではないかと私は考えています。

また細動脈のコントロールは肝がやっているのでその部分もサイドの赤みに関与している可能性があります。

ですので下の横の部分が極端に赤い場合などは肝胆に問題があるのではないかと考えられます。 

また血流の悪い人の舌は紫がかった色になっていることが多いです。

血液の色は酸素が多いと鮮やかになり少ないと暗赤色になります。

ですから血流が良い人の場合ドンドン新鮮な酸素のある血液が供給されているわけで舌の色が淡いピンク色なのが理想なのが分かるかと思います。

血流の悪い方の場合はその逆ということですね。

また部分的に瘀斑と言って黒や強い紫の斑点のようなものが舌に見える場合がありますがこれは部分的に血管が詰まり血液が流れなくなってしまっていると考えられます。

特に舌先の瘀斑は動脈の影響を受けやすい部分の瘀斑ですから、動脈瘤などの恐れが考えられます。

 また舌の裏を見ると静脈が走っているのですがこの静脈があまりに太かったりうねうねしていたり長すぎる場合は血流の悪さを表しています。

これを舌下静脈の怒張と言います。

こちらは静脈の状態がダイレクトに見れているわけで身体の他の静脈でも異変が起きている可能せいがあります。

健康な人の舌の場合は長さが舌尖までの2/3くらいの長さまでで太さが2.5 mm から2.7 mm 以下ぐらいと言われています。

また極端に細すぎたり見当たらないような場合は血虚が疑われることもあります。 

舌全体の色としては淡いピンク色がよくあまりにも赤すぎる場合は熱がこもっていると考えますし色が薄すぎる場合は冷えがあるか血が足りないと考えます。 

人間は体に冷えを感じると熱を逃がさないために末端への血流を減らします。

ですので末端の血液が減り色が薄くなると考えられます。

また血流が低下するわけですから寒凝血瘀といって舌が紫掛かることもあります。

これと普段の血瘀での紫の違いは色だけで区別することは出来ません。

寒暖差などで舌の色が変化するかなども確認する必要がありますね。

また逆に熱がこもるとその熱を発散するために心肺機能が更新しますのでどんどん血液が末端に送られ舌は血管が透けて見えるような状態なのでそれがすぐに分かるということですね。