オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

二十四節気の穀雨から夏至の脈象について(初夏)

難経と言う鍼灸の古典には季節によって出やすい脈の状態が書かれています

七難との部分ですがそれには

二十四節気穀雨から夏至の時期は陽明の気が盛んになり

脈象では浮大短が現れるとあります

穀雨から夏至とは年によって日は多少ずれるのですが

今年2020年では4月19日~6月21日となりそれまでよりは寒い時は減り安定して暖かくなる時期となりますね

陽明の気ですが、東洋医学では人間自体の状態だけでなく自然界の変化も大切にしますので人間の陽明経の気が盛んになるのでは無く自然界の陽明の気が盛んになるとのイメージの方がよいのかと思います。

脈象では浮大短が現れる

について考えて行きたいと思います。

 

浮とは脈が浮いた状態

  1. 外邪が入りまだ表面にある状態
  2. 陽邪が盛んな状態
  3. 陰陽の消耗により脈を抑えておくことが出来なくなり浮いてしまった状態
  4. 陽気が盛んな状態

などが考えられます。

1・2・3に関しては季節と関係なく人間側の不調なので可能性は低いです。

このシーズンは温かいのででの可能性が高いのですね。

 

脈が大とは脈が太い状態

  1. 気が充実してしっかりと血液を送り出せている
  2. 陰血が充実し脈に流れる血液が多い
  3. 気血共に充実し送る力も送られる血液も多い
  4. 熱邪により機能更新して送り出される血液の量が増える
  5. 陰血・陽気ともに減り過ぎて脈が弛緩している
  6. 痰湿が多く血液量が増えている

この場合4・5・6は病的状態なので別として

1・2・3の可能性が高いですね

 

 

そして短とは脈の幅が短い状態

  1. 気虚でしっかり血液を送り出せていない
  2. 陰血不足で脈に流れる血液が少ない
  3. 気血両虚で送る力も送られる血液もない
  4. 痰湿や瘀血といった病邪により気血の運行が上手くいっていない
  5. 気滞ににより気血の運行が上手くいっていない

などが考えられます。

この場合も季節と関係ない人間側の問題4・5の可能性は低く

1・2・3の中のどれかとなりますね。

 

ここまで話してまだ絞り込めていませんが

大と短の部分でどちらも起こり得る状態を考えるともっと絞り込むことが出来ます。

暖かくなって陽気が増していることを考えると

短脈の1・3は考えづらくの可能性が高いのが分かるかと思います。

そう考えると大脈の2・3はその逆ですから同時には成り立ちません。

なので大脈となっている理由はと考えることが出来ますね。

総合して考えると

暖かくなり陽気が充実してきて血液をしっかり送り出せるようになってきたので

脈が大になってきたが脈の長さを充実させるほどまだ陰血が充実していないので短脈であると言えるのではないでしょうか。

 

二十四節気の霜降から冬至の脈象について

陽が減り相対的に陰が余り血圧が上がることがあると書きましたが

暖かくなる時期はその逆で身体の陽が増したのにあわせて陰血も寒い時期より必要になる時期なのです。

 

西洋医学的に考えると暖かくなると身体に籠もった熱を逃がすため毛細血管などが拡張して必要な血液量が増えるのと同じだと考えられますね。