オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

二十四節気の雨水から穀雨の脈象について(春)

難経と言う鍼灸の古典には季節によって出やすい脈の状態が書かれています

七難との部分ですがそれには

二十四節気の雨水から穀雨時期は少陽の気が盛んになり

脈象では大になったり小になったり短になったり長になったりするとあります

雨水から穀雨とは年によって日は多少ずれるのですが

今年2020年では2月19日~4月19日となり急激に暖かくなる時期となりますね

少陽の気ですが、東洋医学では人間自体の状態だけでなく自然界の変化も大切にしますので人間の少陽経の気が盛んになるのでは無く自然界の少陽の気が盛んになるとのイメージの方がよいのかと思います。

脈象では大になったり小になったり短になったり長になったりする

について考えて行きたいと思います。

 

脈の大・小とは太さが太くなったり細くなったりすること

脈の短・長とは幅が長くなったり短くなったりすること

ということはこの時期はとても変動しやすい要素があると考えられます。

中医学の陰陽で考えると動きの激しいのは陽の特徴!

一気に陽が増してくるシーズンだからと考えられます。

脈が大・長の状態で考えられるのは

  1. 気が充実してしっかりと血液を送り出せている
  2. 陰血が充実し脈に流れる血液が多い
  3. 気血共に充実し送る力も送られる血液も多い
  4. 熱邪により機能更新して送り出される血液の量が増える
  5. 陰血・陽気ともに減り過ぎて脈が弛緩している

 

脈が小・短の状態で考えられるのは

  1. 気虚でしっかり血液を送り出せていない
  2. 陰血不足で脈に流れる血液が少ない
  3. 気血両虚で送る力も送られる血液もない
  4. 痰湿や瘀血といった病邪により気血の運行が上手くいっていない
  5. 気滞ににより気血の運行が上手くいっていない

などが考えられます。

どちらのパターンでも4・5は病的な状態を指しているので

季節の気の働きでの変化として考えるのは適切でないと思います。

 

二十四節気の霜降から冬至の脈象について

のシーズンも寒暖差の激しい時期ですがどちらかと言えば

寒くなっていく方向でしたが

雨水から穀雨は暖かくなる方向での寒暖差の大きなシーズンと言えます。

暖かくなるわけですから陽気は充実してきますから

大・長の場合が一番ありえる状況ですね

逆に小・短の場合1・3は考えづらくであれば

自然界の陽気がますと人の陽も増すので相対的に必要な陰も増すのですが

まだ陰血がそれに追いついて増えていないと考えられます。

ですので

脈が大・長の状態では

  • 気が充実してしっかりと血液を送り出せている

脈が小・短の状態では

  • 陰血不足で脈に流れる血液が少ない

といったことが自然界の陽気の急な変動により人間の中で起こっていると考えると分かりやすいと思います。

 

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