オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

身体は季節の影響を受けやすい(梅雨・土用)

東洋医学に五季という考えがあります
肝心脾肺腎それぞれの不調が出やすい季節のことです。
肝→春
心→夏
脾→長夏(日本では梅雨)土用
肺→秋
腎→冬
今回は脾について書きます。
脾と言いますと何をする臓腑なのかイメージしにくい人もいるかと思います。
一言で言いますと胃腸機能のことです。
すべての臓腑に気血を作り分配するのでとても重要な臓だったりします。
五臓のつながりにも書いたのでぜひお読みください。
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梅雨時と言うと食中毒などを増えるイメージがあるかと思います。
食中毒菌などが増えるからだと思われている方も多いかもしれませんが、真夏などの暑い時期も食中毒菌の増える速さはそこまで変わりません。
むしろ食中毒菌を受け止める人間側の方が弱っていると考えたほうが理にかなう部分が多いのです。
乳幼児に蜂蜜を与えると危険だと今言われているのは、ハチミツにとても少ないがボツリヌス菌が入っているから、
大人だととても少ない量だボツリヌス菌の増殖を抑えることができるので問題になりませんがまだ胃腸機能が発達してない言う幼児にとっては致命的になることがあります。
ですのでこういった場合も胃腸側の問題であって菌の問題でないといえます。
大人でも同じものを食べてもお腹を壊す人とそうでない人がいますよね。
ではなぜ梅雨時に脾が弱るかと言いますと、脾は湿度やむくみに弱い臓器です。
梅雨時は最も湿度が高く気温もそこまで上がりませんので汗などでうまく発散もできません。
ですので湿度の多い時期は極端に水分を摂りすぎないや、
うまく水分を発散してくれるみょうが・生姜・ネギなどの薬味をうまく使う。
お風呂に浸かり汗で発散させる
などの工夫が勧めできます。
梅雨時が脾の季節であるのはこれで分かったかと思うのですが、
なぜ、土用も?
となるかと思います。
土用とは1年のうち不連続な4つの期間で、
四立(立夏立秋立冬立春)の直前約18日間ずつ
と他の五季とは明らかに性質が違うのが分かるかと思います。
春夏秋冬れぞれの季節になる直前の18日間と考えることができますので
五臓六腑の中央に位置しそれぞれに気血を与える臓として考えますと
春夏秋冬の直前にしっかり栄養を取り次の季節に向けての体づくりをするのに必要な時期として考えられたと思われます。
ですので他の五季がそれぞれの臓腑が弱る時期を表しているのに対し、
土用に関してはしっかり意識しなければいけない時期と考えた方が良いと思います。