オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

肝は剛臓・肺は嬌臓

東洋医学では

肝は剛臓・肺は嬌臓

と言います。

 

西洋医学的に

肝臓は沈黙の臓器と言われ病状がかなり進行するまで症状が現れないと言われます

肺は呼吸にかかわり外部からのウイルスなどの影響を受けやすくまず初めに咳などの症状を表します。

東洋医学をあまり深く考えず

肝は剛臓・肺は嬌臓

西洋医学に当てはめてしまうってもそのまま説明がついてしまう感じなのです。

ですが実際は少し東洋と西洋では意味合いが変わってきます。

東洋医学で言う肝とは西洋医学でいう肝臓の機能の部分も少しは含んでいますが、その多くは脳の働きである部分が大きく精神的な部分への関わりが大きくストレスなどの影響を受けやすい

また本能的に脳の機能を維持するために働く部分も大きい、人間が生きていく上で最も大切なものは脳ですからそれを守るために色々な事をします。

それにより、必要以上に肝が暴走したりすることはよくあること、最終的に守られる場所であるべきですからもちろん弱りにくい

東洋医学で考える肺は呼吸を司っているのももちろんですが、発汗の調整や体の全体の気を巡らせること、免疫機能なのでも関わっています。

外から入ってきたものと最初に戦うのは免疫ですから一番最初にやられるのは当然です。

言い換えれば肝は司令部(でも司令官も疲れることがあるそれが肝気虚

肺は実行部隊といったイメージですね。

いくら良い司令部でも実行部隊が伴っていなければ機能しませんし、その逆も然りです

 

 

東洋医学で血液を考える

東洋医学を始めた時、

気血津液という概念を学びますが

血は血液のようなもの

津液はそれ以外の体液と学ぶことが多いかと思います。

 

ですが実際はそこまで血と血液は近い概念ではありません

血の主な作用は営養作用で、人体と精神の両方を養います。

この部分はまさに身体中を巡り栄養や酸素を運ぶ血液の作用が当たると思われます。

 

ですが血液の機能はそれだけに収まらず

ものすごく多くの糖質を消耗し熱も生産するが体積はそこまで多くない脳を冷やすのも血液です。

その部分の働きで考えると津液の働きも担っているのがわかります。

 

また血液の動きは気の働きです。

興奮したりすると頭に血が上ると言いますが

この場合の血とは西洋医学での血液のこと

興奮することにより脳がフル回転して多くの血液を求めているからだと考えられますが、

東洋医学的には興奮することにより肝が熱を持ちそれにより気が上逆すると考えます。

血液の動きが上方向に向かっているのが気の動きで本来より上に向かっているので上逆と考えます。

ですから西洋医学で言う血液とは気血津液すべての働きの一部を担っているともいえるのです。


www.youtube.com

目の周りのぴくぴくを陰陽で考える


f:id:okukatu:20200724205926j:image
Twitterで目の周りのぴくぴく(眼瞼ミオキリア)について
左右の頻度についてアンケートを取ったところ面白い

結果が出たのでそれについて陰陽で考察したいと思います。

 

 

70票で投票数として計算すると

 

左側の方がぴくぴくしやすい21票

右側の方がぴくぴくしやすい28票

ぴくぴくする頻度は左右変わらない6票

結果確認用15票

との結果に

左右での頻度差はそこまでないが

左右ともにぴくぴくする方は少なく

どちらかに偏っているのがわかります。

陰陽で考えると頭で起きる症状でして

頭部は陽の領域です、

ぴくぴくなどの動く症状も陽の症状なので

納得ですね

また左右どちらかに固定された症状が出やすいのは

陰の問題が考えられます。(陰は動きが少く実態のあるものだから)

西洋的に考えると特定の神経に問題があると考えることが出来るかもしれません。

そもそも眼瞼ミオキリアは疲れや寝不足といった陰血不足で起こることが多い症状で

陰の問題が絡んでいるのも納得できます。

左右を陰陽で考えると

左が陽

右が陰

ですが頻度にそこまで差がないのでこれからの考察はむつかしいかも知れません。

微妙にでも右が多いことから考察すると、陰血が原因の根底にあるからと言えるかも

 

これらをまとめると

根底の原因は陰血にあるので部位は左右どちらかに固定されやすく

起こっている症状はぴくぴくという動きで部位も上部で陽であるといえます。

治療としては症状の陽も考えないといけませんが

根本原因である陰血へのアプローチも外せないといえるのではないでしょうか

 

 

 

 

 

副交感神経優位だと健康?

よく現代人はストレスが多いので交感神経優位で不健康だと言われます。

では副交感神経優位なら健康なのかと思われる方も多いかと思います。

「深呼吸をして副交感神経を高めましょう!」

などよく聞くワードだとは思います。

 

これは日頃から交感神経が興奮している前提でうまく副交感神経に切り替えるために必要な行為だと考えると良いかと思います。

中医学で考えると全ては中庸がベストであり、どちらかがすごく強くなるのは良くないと考えます。

副交感神経と交感神経を陰陽で考えた場合

活動的な動きの時に強くなる交感神経は陽

そしてゆっくりしている時や寝ている時に優位になる副交感神経は陰

と考えられます。

食事をして気血を作るまさに陰な副交感神経

これにより気血のエネルギーをしっかり作ることは

陽の活動にも必要なので確かに大事だとは考えられます。

ですがこちらばかり盛んになると今度は活動的な動きが出来なくなり免疫力なども下がってしまうことがあります。

ですからむしろスムーズに交感神経と副交感神経が切り替わる状態を作ってやるほうが大切だと考えます。

例えば適度にスポーツをすることを考えていただくと分かると思うのですが、

スポーツをするときは交感神経が優位になっています。

これも健康にいいってことなので交感神経優位の方が体にいいのか?

と言えばそれも違うということです。

スポーツでの交感神経優位はスポーツをやめるとスムーズに副交感神経に切り替わっていきます。

これが大事なのです!

それに比べ現代人の交感神経の興奮の多くは身体ではなく、頭の活動パソコンや考え事などでの部分の方が大きく

これの場合ぐるぐる悪い考えなどなどが回ってしまいずっと交感神経優位になってしまうことが多いのです。

ですので身体を動かすなどやめればスムーズに副交感神経に切り替わるスポーツの方が良いのがわかるかと思います。

また呼吸法などオススメ

ティラピスのような胸式での浅く早い呼吸は交感神経を高め

ヨガのように腹式で深く長い呼吸は副交感神経を高める

なので上手く生活に合わせた呼吸をとりていててくのも良いかもしれません

テンションが上がらない時などに交感神経を高める呼吸をすると良いわけです。ただそればかりすると疲れてしまいますよね

寝る前は腹式呼吸などメリハリの利いた生活が良いですね

なので睡眠前に激しい運動はオススメできません

 

神経の陰陽とは?

神経を陰陽で考えると

神経自体は実体があるものですので陰

これは腎精であったり肝血・心血などとして考えることができます

神経が出す信号は命令ですので陽

これは神(精神活動)や肝気の疏泄作用などと考えることができます。

 

また副交感神経・交感神経などという区切りで陰陽として考えますと

人が静かにしている時に働き食べものなどを消化して気血を作り出す副交感神経は陰と考えられ

人が活動的に動き回っている時や危機に際した時の対応として働く交感神経は陽と考えられます

ですのでどの部分で陰陽として考えるかによって状況は変わってきます

治療を考えた時、常に陰陽は考えたいものですし

自分がどの部分での陰陽のことを言っているのかを常に意識するべきだと思います。

chinese-medicine.hateblo.jp

気の巡りとは?

気が巡るとは身体がスムーズに本来の働きをしていることです。

食事をしてそれが消化されそれがスムーズに排便される

 

呼吸をして酸素をスムーズに取り込む

 

身体の一部が熱くなったり冷えたりすれば、血液などを巡らせ熱のアンバランスを正す

 

など普段の生命活動がスムーズに行われていること

これらは自然に行われていますが

様々な身体の働きにより支えられています。

 

まず脳が外部の状態を把握しそれに対する対応への指令を与えます。

これがスムーズに行かないともちろん気の巡りは悪くなります。

中医学的に考えるとこれは肝の疏泄機能と考えられます。

 

またその指令に対して身体が反応して動けなければいくら脳が良い指令を与えても無駄になってしまいます。

中医学的に考えると脾の運化機能や肺の粛降機能、腎の気化作用など様々な身体の動きに関わる機能のことを指していると考えられます。

また特に気の巡りに関わる臓腑は肝・肺と考えれるので身体側の代表を肺と考えることも出来るかと思います。

営衛調和などが脳と身体のバランスを指していると捕らえる事も出来ます。

例えば

神田橋処方として有名な

桂枝加芍薬湯+四物湯

は営衛調和をすることにより脳と身体の働きのバランスをとっていると理解する事も可能だと思っています。

また治療として考える時

気滞(気の巡りが悪い)だとなんでも理気と考えるのは乱暴だと言えます。

どの部分に問題があり気滞が起きているかにより治療は変わってきます。

漢方を使う時、補気(気を補う)し過ぎるとむしろ気滞が酷くなってしまったりするのも、この細かな違いを意識した治療が出来ていないと起こりやすい。

どの部分の機能を補う(補気)しているのか?

を意識すればより細かな漢方の運用が可能となります。

左右の陰陽について


一般の方に左右どちらが陽だと思います?

と聞きますと多くの方が右と答られます。

また上下でどちらが陽だと思いますと聞くと上と答られます。

じつは陽なのは上と左なんです。

陽とは動きやエネルギー、熱、火、情報、指令、上などで実体の無いもの

陰とは実体があり、陽を生み出すもの、冷え、水、下など

何故?左が陽、右が陰かと言いますと諸説あるのですが

 

方角で考えると

南が陽、北が陰

東が陽(太陽が昇るから)

西が陰(太陽が沈むから)

でそれを人に当てはめると

人が南を向いた時、

左は東なので陽

右は西なので陰

との説を聞いたことがあります。

 

f:id:okukatu:20200903152305p:plain



東洋医学は北半球で生まれた医学なので問題ないですが

南半球なら太陽が昇る方角は逆ですし、

人は常に南を向いているわけではない

では人の身体で考えるた場合何故?

左は陽なのか考えてみました

 

まず上半身・下半身で考えると上半身より下半身の方が筋肉などが充実しており陰なのは分かると思います。

また、この上半身、下半身という考えが曲者でどこからが上半身どこから下半身と考えるかは人によって違ってきます。

臍を中心に考える?

首より上と下?

どれも間違いないではないとは思いますが

これから話す上半身、下半身は首から上と下で考えた話をさせていただきます。

首から上は頭で目や耳があり感覚器官が集中しておりさらにはそれから収集した情報を統合して首から下に指令を与えていますのでとても陽な領域です。

首から下の身体は頭を支え脳からの指令で動き外からの栄養を吸収し血肉を作りますから陰な領域と言えます。

身体は頭よりよく動きますから陽か?というとそうではなく物理的な動きより脳からの指令や情報の方がより陽だと言えます。

一般的に右利きの人として考えた場合

右半身の方が筋肉などが充実しているのが分かるかと思います

筋肉が充実しているのは実体がしっかりあるということですから

陰が充実していると言えます。

ただし陰が充実しているということはそれから生まれる陽のエネルギーも大きいと言えます。

また不調としては陰が充実しているので、陰を動かすための陽気の詰まりの問題が出やすかったりします。

また陰が充実しているべき場所なので、陰の不足があるとその問題も起きやすい。

では脳と身体で考えると右半身に指令を与えるているのは左脳です

から、指令や情報といった最も陽な部分は左側が充実していると言えます。

ですので左右の陰陽は

身体の実体の部分と

脳の指令の部分で

考えると説明がつくし臨床応用も可能であると考えています。

 

左半身は右より陰血の充実が少ないので血瘀などの問題が起きやすく

陰血とのバランスでは気のほうが充実しているはずなので

気虚などの症状が出やすい。

気を生み出す出すのは陰血との側面もある

 

また左右の陰陽が覚えにくい方にオススメな語呂は

左(ひだり)は火(ひ)なので陽

右(みぎ)は水(みず)なので陰

覚えやすいです。

 

また、東洋医学とは直接関係無いですが

陰陽は日本人の生活にも昔から密着した考えですので

以外とイロイロなところに隠れているものです。

ネタとして書いておきます。

左「ヒラメ」右「カレイ」
と言いまして目を上にした時
左向くのがヒラメ
右向くのがカレイ
となります。
左は陽でヒラメは動きが活発で成長が早い
右は陰でカレイはおとなしく成長が緩やかで長生き
ちなみに画像はヒラメです。


f:id:okukatu:20200721100233j:image


www.youtube.com