太陽小腸経の流注について
第5指の小指側の少沢から始まり
腕を上がり肩甲骨周りに肩中兪まで行くとそこから
太陽膀胱経の附分→大杼を経て
督脈の大椎へそこから前へグルリと巡り欠盆へ欠盆は本当に多くの経絡が会合するツボと言えますね。
そして小腸経は肩甲骨周りのコリにもとても有効ですね。
欠盆からは内側と外側に分かれ内側のものは心に絡し胃を通って下へ下降し小腸に属します。
途中任脈の上脘・中脘とも交会します。
外側は欠盆→天窓→天容へそこからさらに分かれ
天容→顴髎→目の下を通り→睛明(目頭)で太陽膀胱経と交わります。
また五輪説では
心は目尻・目頭の赤い部分に影響すると考えるのも
心と表裏にありより表に影響しやすい陽経である小腸経がどちらも繋がっていることからも納得出来る部分でもあります。
また睛明・附分・大杼で交わる膀胱経とは同じ太陽経に属し関係が深く
心→小腸→膀胱の流れで膀胱炎の原因となったりするのでそのような時
小腸経のツボに反応が出ることもあります。
漢方では清心蓮子飲などを膀胱炎に使うのが有名ですね。
ウイルスを中医学で考える
まずは陰陽で考えると
陰とは実体があり物を生み出したりする力のあるもの
陽とは動きや情報、エネルギー
と考えますから
ウイルスは最も陽な生き物
情報だけの存在で自分で自分を増やすことが出来ず
宿主(陰)に自分を増やしてもらうから
陽は陰を消耗する
またウイルスを自体は動く事ができない物体(陰)と考えると
それを媒介したりする人の動きが(陽)と考えることが出来ます
どこを基準に陰陽を考えるかでの違いが面白いですよね
ウイルスや細菌の感染症は中医学で考えると外感邪と考えることが出来るのですが
完全に一致するものでもないので注意が必要です。
例えば急に寒くなると人間寒気がしますよねこれを中医学では寒邪と考えますし
ウイルスに感染して寒気がするのも寒邪と考えます。
どちらも体温をあげないといけない状態なので寒気がします。
寒くなった場合は当然ですが、ウイルスに感染した時は体温をあげようと
人間が基礎体温の基準値セットポイントを上げるので
そこまで上がっていない場合寒気を感じますし、身体は熱を逃さないように頑張りますし熱を発生しようとします。
これらを完全に分けるのは以外に難しいのです。
外気の冷えでの寒気でもそれにより体温が下がれば免疫機能が下がりそのままウイルスに感染してしまうことも多いから。
ですので中医学ではどちらが原因でもしっかり体温を上げるのをサポートしたりします。
またウイルスなどに過剰反応をして熱が過剰な場合は熱を抑えます。
陽明胃経の流注について
陽明大腸経の迎香から始まる経絡です
表裏関係にある脾とともに嗅覚に胃経が大きく関わっているのが分かると思います。
陽明胃経身体の前面を流れる気血の充実した経絡で
女性の妊娠に大きく関わる衝脈・任脈も前面を走行しているため影響を受けやすく
妊娠時のつわりなどで以上に嗅覚に敏感になったりするのもこのため
食べつわりなどが起こったりするのもこの経絡の影響が大きいと考えられます。
西洋的に考えると赤ちゃんができたことにより必要な栄養を吸収しなければいけないと体が判断するのと、実際に赤ちゃんが必要とする栄養価のバランスが悪い事が一つの原因ではないのかと私は考えています。
そう考えると12週以降の安定期になると赤ちゃんが急激に成長しますので実際に栄養が必要になってくるといったところです。
胃は水穀の受納と腐孰を主りますので
また前面を走る気血が充実しているべき経絡なのでそれが弱ると
前面を支えられなくなり猫背や机に肘をつきやすくなったりすることもあります。
迎香①に起こった後、鼻を挟んで上行して鼻根部で左右が交差しますこれは大腸経で左右が交差しているのと同じ理由だと考えられます。
そこから目の内眦②(目頭のこと)には入り太陽膀胱経と睛明で交会します
さらに目から下って承泣③→四白→巨髎そこから上顎へ入りそこから地倉⑤に戻り唇を巡り(このため胃の潤いは唇の潤いに直結している)その際、督脈の人中とも交会する
任脈の承漿⑥で左右が交差して下顎の後下方に沿って下り⑦大迎そこから耳前を上がり
髪際をに沿って頬車⑧→下関⑨→少陽胆経の上関・懸顱・懸釐・頷厭→頭維⑪に至った後、督脈の神庭で会合します。
陽明経の頭痛が前額部に起こるのもこのためと考えられます。
またその原因が副鼻腔炎だったりするのが多いのも経絡の流注を考えれば納得ですね。
この配置から咬筋と胃経の関わりも深くよく噛むことが消化を助けるのも分かります。
下関⑨は耳下腺、頬車⑧は顎下腺に影響します。
また大迎から別れた分枝は人迎⑬に至りそこから内側を通り背中側にある
督脈の大椎に会合しますそこから
人迎⑬→水突→気舎⑭→欠盆⑯と表面を走行してい来た経絡と
欠盆⑯で再び合流してそこから内側に入り胃に属し任脈の上脘・中脘と交会し脾に絡します
また欠盆⑯は大腸経も内側に入りそこから肺に絡するツボ
胃陰と肺陰が密接なのも表していると考えられますね。
そして欠盆⑯から分かれた分枝は体表を下降し乳中などを経て気衝⑲で内側を通ってきた経絡と合流します。
母乳の出に胃経が大きく関わるのも乳中を通ることで分かるかと思います。
胃経と麦芽の関わり書いてるので興味あれば読んでやって下さい
そこからは大腿前面を下降して行きますので
胃腸のケアとしてしっかり腿を上げたウォーキングなどをススメルのもこのため
そして足三里㉒で内側に分かれた分枝は第三指の小指側㉖に至り
外側を下降した分枝は第二指の小指側の厲兌㉔に至る
さらに胃の原穴である衝陽㉗から分かれた分枝は第一指の親指側にある太陰脾経の隠白に至ります。
舌の動きや形について
老舌(ろうぜつ)
舌面の紋理がきめ粗く、舌体が堅くしまった感じで、色が濃く
見えるもの
シワの多い皮膚の粗い老人の顔のように見える
このような舌は実証の人に多いと考えられる舌です
嫩舌(どんぜつ)
舌面の紋理がきめ細かくてしっとりと潤いがあり、舌体がはれぼったくて軟らかい感じがするもの
嫩は柔らかい・若々しいとの意味があります。
一般に虚証が主体であると考えられますが、痰湿などの実邪が絡んでいることもあります。
痩薄舌(そうはくぜつ)
気血不足によって舌がしっかりと育っていない状態で舌が細かったり薄かったりする状態を指します。
また陰虚が強い場合は虚熱により舌が赤くなったり苔がなくなったりしていることがあります。
また舌の歯型やむくみについてはこちらに書きました
舌の動き
また舌をしっかり出せないような状態であれば極端な虚がある可能性があります。
舌が震えて止まらないような場合は脳神経系などに問題が起きている可能性もあるので西洋医学の病院での検査は必ずしてしまった方が良いです。
また舌を出した時に片側に曲がったようになってしまいまっすぐ出せない方の場合も同様です。
舌診での舌の色について
舌に向かう動脈は舌深動脈で舌尖部に向かいその後
静脈に回収されます。
ですので心肺機能の影響が舌先に強く反映されます。
ですから上半身に熱がこもっている人などはした先が赤くなりがちです。
またこの図では舌の付け根のあたりが腎の領域となっていますが
舌は顔についている器官でもあり下半身などの情報はなかなか見ることはできません。
ただ舌の付け根にある舌下腺などの唾液腺は腎の経絡の影響を受けているのは間違いありません。
さらに付け根の部分が細い方は元々のベースが弱いと考えられるので腎が弱いとも考えることが出来ます。
また歯痕のところでお話ししたように舌の筋肉の力であったりボリュームを支えているのは胃腸の機能であり、舌の中央部の充実を見るのが胃腸の状態を見るのに大切なのは必然なのかもしれません。
これもまた歯痕のところで話した話ですが舌の筋肉の細かなコントロールは肝が行なっているわけで、そこがうまくいかないと歯痕とならなくても舌のサイドの色にも影響を及ぼすのではないかと私は考えています。
また細動脈のコントロールは肝がやっているのでその部分もサイドの赤みに関与している可能性があります。
ですので下の横の部分が極端に赤い場合などは肝胆に問題があるのではないかと考えられます。
また血流の悪い人の舌は紫がかった色になっていることが多いです。
血液の色は酸素が多いと鮮やかになり少ないと暗赤色になります。
ですから血流が良い人の場合ドンドン新鮮な酸素のある血液が供給されているわけで舌の色が淡いピンク色なのが理想なのが分かるかと思います。
血流の悪い方の場合はその逆ということですね。
また部分的に瘀斑と言って黒や強い紫の斑点のようなものが舌に見える場合がありますがこれは部分的に血管が詰まり血液が流れなくなってしまっていると考えられます。
特に舌先の瘀斑は動脈の影響を受けやすい部分の瘀斑ですから、動脈瘤などの恐れが考えられます。
また舌の裏を見ると静脈が走っているのですがこの静脈があまりに太かったりうねうねしていたり長すぎる場合は血流の悪さを表しています。
これを舌下静脈の怒張と言います。
こちらは静脈の状態がダイレクトに見れているわけで身体の他の静脈でも異変が起きている可能せいがあります。
健康な人の舌の場合は長さが舌尖までの2/3くらいの長さまでで太さが2.5 mm から2.7 mm 以下ぐらいと言われています。
また極端に細すぎたり見当たらないような場合は血虚が疑われることもあります。
舌全体の色としては淡いピンク色がよくあまりにも赤すぎる場合は熱がこもっていると考えますし色が薄すぎる場合は冷えがあるか血が足りないと考えます。
人間は体に冷えを感じると熱を逃がさないために末端への血流を減らします。
ですので末端の血液が減り色が薄くなると考えられます。
また血流が低下するわけですから寒凝血瘀といって舌が紫掛かることもあります。
これと普段の血瘀での紫の違いは色だけで区別することは出来ません。
寒暖差などで舌の色が変化するかなども確認する必要がありますね。
また逆に熱がこもるとその熱を発散するために心肺機能が更新しますのでどんどん血液が末端に送られ舌は血管が透けて見えるような状態なのでそれがすぐに分かるということですね。
脈診はウソ発見器
ここに書いたように
脈診で気の変化を見ているのは動脈の血管壁の筋肉の動きと心臓の押す出す力の部分になります。
これらの筋肉はどちらも不随意筋と言われ自分の意思でコントロールすることはできない筋肉と考えられます。
ですが感情の変化には敏感に反応する筋肉でもあります。
ドキドキしたりすると脈拍が速くなったり、緊張すると動脈壁が硬くなっなったりします。
よくドラマなのでも出てくる嘘発見器などは脈拍の速さと肌の発汗などを確認して嘘をついているかどうかを判断するわけですから
脈診でも脈拍の速さの変化肌の汗の状態などが確認でき、さらには動脈の壁の筋肉の緊張感までわかるわけですから、嘘発見器より正確な情報が得られる可能性すらあります。
ですので脈診をする時には精神的に安定していることによって落ち着いている時の脈と患者さんと会話をしたことによって変化する部分を比較してみるのも一つの手と言えます。
この変化が大きい場合は患者さんの気持ちの核心をついている可能性もあります。
また変化ができるということは気がまだ充実しているとも捉えることもできます。
そして陰血や痰湿の情報はこういった感情の変化ではすぐに変化しないので変わらない部分であると言えます。
陽明大腸経の流注について
太陰肺経で書いたように陽明大腸経は商陽から経絡が始まります。
肺・大腸は表裏にあると考え
肺が陰でより内側
大腸が陽でより外側
とも考えますので肺より大腸経の方が強く反応が出ることも多いですし
外からの邪の影響を受けやすいとも言えます。
商陽から始まった陽明大腸経は肩の巨骨に至りそこから秉風(太陽小腸経)→背骨上の大椎さらに内側を通り鎖骨上窩の欠盆へそこから天鼎と複雑に繋がっています。
外感邪は大椎から入ると言うのも免疫を司る肺経の表の表である大腸経からだからと考えることも出来ますね。
さらに天鼎から扶突と喉を上がったのち下顎に入りその後
口唇をはさみ地倉(陽明胃経)→禾髎→鼻下の人中(督脈)を通って左右逆の迎香に
ですので下顎に不調がある時は陽明大腸経に問題のあることがあります。
また迎香は人の嗅覚に影響の大きなツボですがこのツボが左右反対の経絡から繋がるのも興味深いです。
西洋医学的に考えるとほとんどの運動や感覚は左右反対の脳により支配されていますが
嗅覚は左右が交差していないんです。
古代人が観察でこれを知っておりあえてここを交差させたのでは?
なんて考えると面白いですね。