気血にについて考える(補気薬の違い)
気とは動き・エネルギー・熱などですから
それを作り出す血(身体自体)がないと始まらないのです。
ですが、動き・エネルギー・熱、自体は
身体が動いていないと生まれないのです
気は使いすぎると消耗すると言いますが
実際は気の燃料となっている血を消耗しているのです。
電動アシスト機能のついた風力発電をお知りですか?
— オックー@漢方(中医学)+鍼灸 #オックー中医学勉強会 (@okukatu42) 2020年10月3日
風が弱いときに電動で風車を回してあげるとその後は多少弱い風でも風車が回ると言うもの
これ人間でも言えまして
体が重いや寒いとき身体を動かすと、そこから巡り出し
エネルギーも生み出されることがあるのです。#中医学 #漢方 #鍼灸 #養生
こんなイメージですね。
ですので一言に気虚といっても
を考えないと行けないと思うのです。
それを判断するための気虚・血虚なのではないかと言われるかもしれませんが
実際はそこまでスパッと切り分けることは難しいのではと思うのです。
血虚よりなのか気虚よりなのかで使う治療の使い分けが有効と感じます。
また
③食物からスムーズにエネルギーに変換できないタイプの気虚もあると思います
鍼灸が得意なのは
血から気の変換が上手く行かない場合の気虚
食物から気への変換が上手く行かない場合の気虚
漢方が得意なのは
漢方は原料不足タイプも得意
食物から気への変換が上手く行かない場合の気虚は漢方自体胃腸から入るので少し苦手
西洋医学的に言う
ホルモンであったり神経の伝達にアプローチするのが
血から気の変換が上手く行かない場合の気虚へのアプローチ
栄養剤だったりするのが
原料がないので気を作れない気虚へのアプローチ
となりますが
この場合でもビタミンやミネラルは
栄養としてだけでなくホルモンであったり神経の伝達にアプローチしているわけで
分けられないのが分かります。
ですので一般に補気薬と言われる生薬でも
どれを主体に働いているのかのイメージを持つと使い分けやすいと考えています。
高麗人参
は中枢神経に作用する成分を多く含んでいるので②主体の生薬
黄耆
は水の動きをスムーズにすることにより身体の機能をアップしていると私は考えており
これは黄耆の汗を抑える効果などにも反映されていると考えています。
逆に考えると気が増えるので水の巡りが良くなるとも考えられますが、気とは動きですから水の動きも気といえます。
白朮
こちらも水の代謝に働きますが特に胃腸に働くところが大きくそれにより胃腸機能を高め食品などからのエネルギーを取り込むことで補気すると考えています。
ですので③主体の生薬で他の漢方の吸収なども助けるので組み合わせて使いやすいと思っています。
山薬
西洋的には男性ホルモン様作用、免疫賦活作用などあると言われており
②の効果もあると思われますが、身体の潤いを足す作用もあり①からの補気もあるのではないかと考えています。
ですので白朮との併用は②③の相乗効果が期待できますし、
お互いの副作用である
白朮の乾かす 山薬の湿を作る
をカバーできます。
また血糖値を下げるとの研究結果もあります。
甘草
グリチルリチンを含み副腎皮質ホルモン様の作用を示すことから
偽アルドステロン作用にによる浮腫などを起こすので有名ですね。
ですがこれは使いすぎた場合の副作用むしろ適度な浮腫は血圧上げたりしてくれるとも考えられます。
ただし人により効果の出る量に大きな差がある生薬なので副作用のチェックは必須
②の作用と①の作用*1を持った生薬と考えています。
また甘草の作用として他の生薬の過剰な反応や身体の急症状を和らげると言われますが
これも副腎皮質ホルモン様*2があるので納得でね。
大棗
ナツメのことですね、この生薬は補気するだけでなく補血し安神するのも特徴
それにより他の生薬の激しい薬効を和らげたり、胃腸への負担も軽減します。
西洋的にも抗補体作用があると言われ免疫系の異常活性を抑えたり
動物実験では神経線維の成長促進作用があったりが分かっています。
これらの作用はすべて中医学での効能の説明に繋がりますね。
ここでも書いたように中医学での血は神経のことでもあるので
神経線維の成長促進は補血といえます。
これらのことから考えると①主体の補気薬であると言えると思います。
ですから血を補うのの弊害として痰湿を作ることもあり生姜・茯苓などと併せ使用しその弊害を軽減したりします。
膠飴
これは麦芽糖のことでして糖質を直接補充するわけで
③タイプの方にスムーズに気(エネルギー)を補充することができます。
糖質の良いところはここで、エネルギー不足過ぎて食べ物や漢方を吸収出来ない人に併せて使用することで漢方の吸収を高めたりもするのです。
ただし痰湿も作りやすいので注意が必要です。
西洋医学的にも運動後にタンパク質と共に糖質を摂取するとインスリン分泌が促進され
インスリンのタンパク質同化作用によりタンパク質が筋肉に変換されやすいと言われています。