オックー@漢方(中医学)+鍼灸

薬剤師・鍼灸師・国際中医師A級のオックーが基本、中医学について書いています。

正虚・邪実について

 

このような話がTwitterであったので詳しくここにまとめて書こうと思います。

以前に

chinese-medicine.hateblo.jp

 こちらに書いたように正虚と邪実はそれぞれ別のベクトル*1で考えないと

ゴチャゴチャになってしまう概念です。

 

邪実とは要らないものが多くあるや上手く巡らず詰まっている状態

なので

とても邪が多い↔邪がない

 

正虚は必要なものが足りない状態です

なので

とても正が充実している↔正が少ない

 

と正と邪と言う2軸のベクトルがあるのです。

そこで面白いのは以前に書いたように

人間が生きている限り正がゼロになることはありませんし

とっても健康なら邪がないこともあります。

 

今回話題になったナツメの件ではさらに

人間の健康(正)には上限がありますが

外部からくる邪には上限がないということです。

 

ですのでナツメの様に脾気を補い*2陰血*3も補う食べ物の場合

陰血を補うのは胃腸機能の負担となりやすく痰湿*4も作り出しやすいのですが、脾気を補うのでそこの負担を軽減できる*5

のでものすごくスムーズに陰血が補えると考えられます。

ですが大量に摂取し過ぎると

どんなに丈夫な胃腸でも処理仕切れない量となり痰湿を生んでしまいます。

そして正の部分の充実は人により上限が違うのも配慮する必要があるのです。

またこの上限は健康に過ごしている期間が長かったりすると少しずつながら上積みされて行きます。

それを把握しながらその上限を高めて行くのが東洋医学で言うところの養生です。

漢方・鍼灸の治療をしていてうまく行かないときは、

このバランスを再度見つめ直す必要があると思います。

*1:向きと大きさを持つ量のこと

*2:胃腸機能を高める

*3:体に必要な物質

*4:巡らない不必要な体液

*5:脾が強いと痰湿が出来にくい