漢方は何種類まで組み合わせていいの?
漢方は何種類まで組み合わせていいの?
と聞かれることがよくあります。
はっきりした目的があっての組み合わせなら何種類組み合わせてもよいが
どうしても多くの物を組み合わると方向性がぼやけ即効性が落ちることも多いので
バランスは必要と言えるのではないでしょうか、この場合の目的とはめまいに○○、耳鳴りに□□などと症状に次々と漢方をトッピングするという意味ではなく、身体のバランスが崩れているため様々な症状が出ているのでそのバランスを取るために数種の漢方を使う必要があると言う目的です。
例えば
温経湯
芎帰膠艾湯・当帰建中湯・当帰芍薬散・当帰四逆加呉茱萸生姜湯・麦門冬湯・桂枝茯苓丸などを重なる生薬やそれぞれの組み合わせでは邪魔になる生薬などを除いたり、分量を調節して考えられた漢方と考えることも出来るんです。
これは長年の経験なども含めて練りに練られた処方単純に組み合わせたら良いわけでないのが分かるかと思います。
またシンプルな漢方、例えば
芍薬甘草湯
芍薬と甘草という2種類の生薬のみで構成されています。
即効性がすごくこむら返りなど飲むとすぐ治まるので有名です。
芍薬の柔肝止痛と甘草の緩急止痛
作用を絶妙に合わせた処方で無駄が削ぎ落されているため効果がシャープ
ただし根本原因である陰血不足を補うのには向いていないので
芍薬甘草湯の頓服標治をして症状出ていない時に他の漢方で本治をするのが理想です。
ですので状況によっても組み合わせ数は変えてたいですね。
また漢方によっては組み合わせることにより本来の効果以外の作用を示すものもあり
生薬同士の相互作用も把握しなければいけない場合があります。
例えば
辛夷清肺湯と葛根湯加川芎辛夷
どちらも副鼻腔炎などで使う漢方なのですが
辛夷清肺湯は熱があるタイプ
葛根湯加川芎辛夷は冷えのあるタイプ
に基本的に使います。
では二つとも同時に使えばあまり熱の関係ないタイプに使えのか?
と言いますと違います。
辛夷清肺湯に入っている石膏と葛根湯加川芎辛夷に入っている桂皮・麻黄と言う生薬を組み合わせると大青竜湯と言う汗と尿のどちらからも熱を抜き取るとても冷やす処方に
近くなるからです。
ですのでその性質を知っており辛夷清肺湯だけでは熱を取り切れないと分かった上で使うのであると良い組み合わせですが分かっておらず使うのなら危険な組み合わせてなりますね。
ですので漢方は一つの組み合わせとしての効能だけでなく入っている生薬の効能そしてそれぞれが組み合わさってです効果も知っていて初めて組み合わせるべきと言えます。
よくある組み合わせしては
胃腸が弱く血が作れない方に胃腸を整える漢方と血を補う漢方を一緒に使う手法
血を補う漢方が胃腸に負担になることが多いので良い方法なんです。
十全大補湯
これは胃腸整える四君子湯と血を補う四物湯に黄耆、桂皮を足した物
よく使われる漢方にはこういった身体と漢方の関係も考慮されているものが多いのでそれも参考になります。
そしてそれを知っていれば十全大補湯でも胃腸に重い時
十全大補湯にさらに四君子湯を追加するなどの工夫も可能となりますね。
また現代の日本では使えない漢方の生薬の組み合わもそれを知っていると組み合わせの工夫に生かせるのです。